
断熱等級を上げる時のコストとグラスウールの厚みと性能はどの位?
一戸建て住宅において一般的に使用されているグラスウール断熱材ですが、旭ファイバーグラス社さんからグラスウール断熱材のサンプルをいただきましたので、断熱等級別に推奨される仕様と必要な厚みをご紹介します。
目次
旭ファイバーグラス社の断熱推奨仕様
旭ファイバーグラス社のホームページに、断熱等級別の推奨仕様が掲載されていますのでご紹介します。
等級7は断熱材を壁の外側にも施工する「付加断熱」が必要で、23区のような土地価格が高いエリアでは、かなりハードルが上がります。したがって、今回は断熱等級4未満、等級4~6を中心にご説明します。
グラスウール断熱材の性能
旭ファイバーグラスさんからいただいたグラスウール断熱材のサンプルです。
熱抵抗値(R値)は、厚み(m)÷熱伝導率(λ:W/(m・K))で求められます。R値が大きいほど高性能な断熱材です。
※写真上のマットエースの場合、0.1m(100mm)÷0.05W/(m・K)=2㎡・K/Wになります。
密度(K)は、1立方メートル当たりの重さを表し、10Kであれば1立方メートル当たり10kgの重さになります。数字が小さい(密度が低い)ものほどコシがなく施工は楽で、数字が大きい(密度が高い)ものほどコシがあり、施工の手間はかかりそうです。
建売住宅でよく使われている断熱材はコシが弱い
断熱等級4未満の家によく使われている、10K・100mmの断熱材です。
コシがなく、一度潰してしまうと元の厚みに戻すのは難しいです。
断熱欠損のリスク
コシが弱い断熱材は施工が雑になりやすく、断熱欠損が生じたり、防湿層が機能しなかったりするため、壁内結露のリスクが高まります。
ほどほどにコシがある16Kの断熱材でも、下の写真のような施工物件もあったりします。
最終的には職人さんの腕次第というところでしょうか。写真のような施工だと断熱の機能も薄まり、机上の断熱性能が担保できないどころか、室内の水蒸気が壁内部へと侵入してしまうので、壁内結露の要因になります。
断熱材の施工方法による性能への影響
施工方法によって、断熱性能が2割ほど落ちることがあります。
今回取り寄せたサンプルの中で、最も密度の高い36Kの断熱材も潰してみました。
動画も撮影しましたのでご覧ください。
コシがあるので、手で潰しても簡単に元の厚みに戻すことができましたが、コンセントボックスやスイッチプレートの厚み分だけ加工しなければならず、施工費が上がりそうです。
また、この36K断熱材は、防湿シートを別に張らなければなりません。
断熱性能別の材料費を計算
断熱性能などを算出する際に使用されている自立循環型モデルプランで、断熱材別の材料費(メーカーHP記載の設計単価)を計算してみました。
外周部面積:139.48㎡、1階床下面積:62.1㎡、2階天井面積:67.92㎡
断熱等級4:589,634円
断熱等級5:672,224円(4との差額82,590円)
断熱等級6:1,172,260円(別張り防湿シート含む)(4との差額582,626円)
※工賃別、床断熱仕様、浴室基礎断熱は差額なし、玄関断熱なしで計算
一部例外もありますが、等級4未満の建売住宅においてもアルミ樹脂複合サッシを採用しているので、等級4から5へのランクアップは、材料費だけでは約9万円になりました。
ただし、仕入れ値(割引率)が異なるので、差額はもう少し増えると思っておいたほうがいいですね。
等級4から6への差額は約60万円ですが、アルミ樹脂複合サッシを樹脂サッシへ変更し、断熱材と防湿シートの施工費を考慮すると、200万~300万円くらいはコストアップになると思われます。
※準防火地域の場合は防火窓にしなければなりませんので、窓のグレードアップの費用負担がかなりあります。
コストアップ分は冷暖房費で回収できる?
断熱性能を上げた際にかかるコストアップ分を、過去のブログ【ワンランク上の設備、仕様の高級感のある住宅】と【省エネで快適な高性能住宅】でシミュレーションした冷暖房費の削減額で割って、何年で回収できるか計算してみました。
※上記の冷暖房費の間取りも、自立循環型モデルプランを採用しています。
| 年間冷暖房費 (4との差額) | 工事費増加分 (4との差額) | 回収年数 | |
|---|---|---|---|
| 断熱等級4 | 346,500円 | ― | ― |
| 断熱等級5 | 240,240円 (106,260円) | 90,000円 | 1年 |
| 断熱等級6 | 179,760円 (166,740円) | 2,000,000円 2,500,000円 3,000,000円 | 12年 15年 18年 |
上記の計算はエアコン効率を考慮していませんので、実際にはもっと回収年数は伸びますが、断熱性能を上げると部屋間の温度差も少なくなり、経済効果以外のメリットも享受できます。
最後に
この記事の初回公開時には、断熱等級4未満の建売住宅も多く販売されていました。上記でご説明したように、ペラペラでコシの弱い断熱材は机上どおりの性能を発揮できない可能性が高く、暖房をガンガン焚いても部屋が暖まらないことが予想されます。
2025年(令和7年)4月から、断熱等級4が義務化されています。2030年(令和12年)には等級5への引き上げも予定されていますので、今のうちに最低限でも等級5の家を買う、建てることをおすすめします。性能の高い家を買いたい、建てたいと思ったら、ぜひ富士屋不動産へご連絡ください。
建売住宅は、断熱材の種類だけでなく施工状態も確認しましょう
富士屋不動産では、建売住宅のご案内時に、断熱材・窓・気密性なども含めて物件選びのポイントをお伝えしています。