2019年11月10日投稿
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2026年9月 6日更新
北区の標高と液状化リスク:ハザードマップで見る安全な家探し【令和7年9月改定版】
北区での家探しを検討している方に向けて、今回は北区の標高、液状化リスク、ハザードマップについてご紹介します。北区は「武蔵野台地」と呼ばれる高台と、「荒川低地」と呼ばれる低地に分かれており、地域ごとに異なる地形とリスクが存在します。例えば、JR京浜東北線の西側は高台の武蔵野台地、東側は低地に位置しています。京浜東北線の下り電車からは、左側に崖が見える場所もあります。
なお、北区の水害ハザードマップは令和7年9月に改定されています。本記事では改定後の地図に差し替えたうえで、今回新たに「雨水出水(内水氾濫)」の解説を追加しました。雨水出水については令和8年3月に東京都が新たな区域指定を行っており、北区のハザードマップへの反映はこれからという段階です。この点は物件を検討するうえで見落とされやすいので、後半で詳しくご説明します。
現在の「東京都北区水害ハザードマップ」は、荒川・隅田川等・石神井川・高潮のいずれも令和7年9月作成のものです。それぞれの地図が何を根拠にしているのかを一覧にすると、次のようになります。
| ハザードマップ |
基となる図 |
作成主体 |
想定降雨 |
水防法に基づくか |
| 荒川が氾濫した場合 |
荒川水系荒川・入間川 洪水浸水想定区域図 (平成28年5月公表/平成30年9月修正) |
国土交通省 |
荒川流域の 72時間総雨量632mm |
基づく |
隅田川・新河岸川・ 神田川が氾濫した場合 |
隅田川及び新河岸川流域浸水予想区域図(令和3年3月) 神田川流域浸水予想区域図(平成30年3月) |
都市型水害対策連絡会 (東京都) |
時間最大雨量153mm 総雨量690mm |
洪水は基づく 内水は基づかない |
| 石神井川が氾濫した場合 |
石神井川及び白子川流域 浸水予想区域図 (令和元年5月) |
都市型水害対策連絡会 (東京都) |
時間最大雨量153mm 総雨量690mm |
洪水は基づく 内水は基づかない |
高潮ハザードマップ (冊子17・18ページ) |
東京都高潮浸水想定区域図 (令和6年12月) |
東京都 (港湾局・建設局) |
室戸台風級 (910hPa)を想定 |
基づく |
ここで注目していただきたいのが、右端の「水防法に基づくか」の欄です。隅田川・石神井川の地図に描かれている内水氾濫の部分だけは、水防法に基づくものではなく「参考資料」という扱いになっています。理由は後半の「雨水出水(内水氾濫)とは」でご説明します。
想定最大規模降雨(時間最大雨量153mm、総雨量690mm)に伴う、浸水予想区域図(都市型水害対策連絡会)を反映しています。この地図には外水氾濫と内水氾濫の両方が描かれています。
隅田川がはん濫すると、川沿いの「浮間」「志茂」「豊島」エリアは浸水の危険性が高いとされています。意外なことに「堀船」エリアは、隅田川の氾濫による影響を受けにくいと予想されています。これは石神井川が堀船エリアを守っているためかもしれません。
石神井川がはん濫すると「堀船」、「豊島」エリアが浸水する可能性があります。「堀船」エリアは過去に2005年と2010年の2回、大規模な浸水被害が発生しているため、注意が必要ですね。

その他、十条駅周辺エリア、滝野川周辺エリアにおいては、内水はん濫の可能性が指摘されています。
中十条や滝野川あたりでも浸水実績がありますが、こちらには記載されていませんね。この浸水実績図は主要な実績だけを表示されているので、浸水実績図に記載がないからといって安心ではないということです。
なお北区では、道路公園課河川係(区役所第一庁舎3階17番)の窓口で、平成3年4月1日から現在までの浸水履歴を閲覧することができます。気になる物件が見つかったら、一度確認しておくと安心です。
荒川がはん濫した場合
荒川の氾濫によるリスクは、北区の他の河川に比べて広範囲に及ぶことが予想されています。こちらは国土交通省が作成した「荒川水系荒川洪水浸水想定区域図」(荒川流域の72時間総雨量632mm=想定最大規模降雨)が基になっています。
荒川の氾濫は、浸水の深さだけでなく「水が引くまでの時間」も重要です。低地側では浸水が長期間続くことも想定されており、垂直避難(自宅の上階へ逃げる)だけでは対応しきれない場合があります。国土交通省の「荒川3D洪水浸水想定区域図(下流域)」では、ご自宅や職場がどの程度浸水するかを立体的に確認できますので、あわせてご覧になってみてください。
ここまでご紹介したハザードマップは、いずれも「川があふれる」ことを想定したものです。しかし実際の都市部では、川があふれていないのに道路や住宅が浸水するという事態がしばしば起こります。これが「内水氾濫」で、法令上は「雨水出水(うすいしゅっすい)」と呼ばれています。
東京都下水道局の説明によると、雨水出水とは「下水道の雨水排水能力を上回る、または河川水位の上昇により下水道から河川へ放流できずに発生する氾濫」を指します。ゲリラ豪雨のときにマンホールから水が噴き出したり、道路がみるみる冠水したりするアレですね。
|
外水氾濫(洪水) |
内水氾濫(雨水出水) |
| 何が起きるか |
堤防を越える・決壊して 川の水が市街地に流れ込む |
降った雨を下水道が さばききれず地表にあふれる |
| 起きやすい場所 |
川沿いの低地 |
すり鉢状の窪地、坂下、 地下室・半地下、道路より低い敷地 |
| 台地でも起きるか |
起きにくい |
起きる |
| 速さ |
比較的ゆっくり進行 |
短時間で急激に冠水 |
表の下から2行目、ここが一番お伝えしたいところです。「うちは台地の上だから水害は関係ない」とは言い切れないのが内水氾濫です。北区でいえば十条駅周辺や滝野川周辺は武蔵野台地側ですが、それでも内水はん濫の可能性が指摘されています。台地の上にも小さな谷や窪地があり、そこに雨水が集まってくるからです。
令和8年3月、東京都が「雨水出水浸水想定区域」を指定しました
これまで内水氾濫については、法律上の位置づけがあいまいなままでした。それが令和3年度の水防法第14条の2の改正により、想定し得る最大規模の降雨によって浸水が想定される区域を「雨水出水浸水想定区域」として指定する仕組みが整いました。
これを受けて東京都下水道局は、令和8年3月に各流域の「雨水出水浸水想定区域図」を公表しています。北区に関係するのは次の3つです。
- 隅田川及び新河岸川流域 雨水出水浸水想定区域図
- 石神井川及び白子川流域 雨水出水浸水想定区域図
- 神田川流域 雨水出水浸水想定区域図
北区のハザードマップには、まだ反映されていません
ここが今回いちばんお伝えしたい点です。北区は宅地建物取引業者向けのページで、次のように案内しています。
令和8年3月に東京都が「雨水出水浸水想定区域」を指定したものの、北区洪水ハザードマップはまだ対応していないため、東京都下水道局のホームページで確認してほしい。これを含めた北区洪水ハザードマップの改定は令和8年度末頃を予定している。
現在のA1折図裏面(隅田川・新河岸川・神田川/石神井川)に描かれている内水氾濫の浸水区域は、流域浸水予想区域図に基づく参考資料として利用してほしい。
(東京都北区「宅地建物取引業者の方へ」令和8年4月2日更新 ※要約)
つまり今の時点では、北区のハザードマップだけを見ても、水防法に基づく内水のリスクは分からないということです。北区の冊子で内水の色がついていないエリアであっても、都の雨水出水浸水想定区域図では色がついている、ということが起こり得ます。北区のハザードマップが改定される令和8年度末頃までは、この2つを併せて確認する必要があります。
重要事項説明との関係
令和2年8月28日施行の宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第3号の2により、私たち不動産会社には、水防法に基づく水害ハザードマップにおける物件の所在地を、重要事項説明で示す義務があります。
ただ前述のとおり、北区の現行マップの内水部分は水防法に基づくものではありません。ですから「重説で説明されなかった=内水リスクがない」わけではないのです。富士屋不動産では、義務の範囲にとどまらず、都の雨水出水浸水想定区域図や現地の地形(坂下かどうか、周囲より低いかどうか)も含めてご説明するようにしています。
物件を見るときのチェックポイント
- 前面道路より敷地が低くないか 道路の雨水が流れ込みます
- 半地下車庫・地下室・ドライエリアはないか 内水氾濫でもっとも被害が出やすい部分です(半地下物件をおすすめしない理由)
- 坂の下、谷の底になっていないか 地理院地図の色別標高図で周囲との高低差を確認できます
- 周辺の側溝・雨水ますが機能しているか 落ち葉やゴミで詰まっていないか現地で見ておきます
- 旧河道・埋め立てられた水路ではないか 不自然に曲がった細い道は、かつての水路であることがあります
- 玄関や掃き出し窓の高さ 止水板を後から設置できる形状かどうか
▼ 内水氾濫でもっとも被害が出やすい物件です ▼
半地下物件をおすすめしない理由
道路より低い半地下部分には、下水道からあふれた雨水が真っ先に流れ込みます。実際の被害事例と、購入前に確認しておきたいポイントをまとめました。
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私は自転車で現地を回るようにしているのですが、これは坂の勾配や周囲との高低差が体感で分かるからです。車では気づかない数十センチの差が、内水氾濫では効いてきます。
北区の地形は、武蔵野台地の端に位置しており、高低差が明確です。台地側は浸水や液状化のリスクが低い一方で、低地側では浸水、液状化のリスクが高まります。標高地形図を利用して、どのエリアが浸水や液状化リスクが高いか確認することが重要です。ただし、先ほどご説明したとおり、内水氾濫(雨水出水)については台地側でも油断できません。

続いて環状七号線「大和町」交差点から「隅田川」までの断面イメージ図をご覧ください。
環七と中仙道との交差点「大和町」地点の標高は約26m、埼京線との交差地点で約19m、京浜東北線との交差地点で約8m、国道122号線との交差点「宮堀」では約2mになります。
続いて液状化予測のご説明になりますが、下図は平成24年版で令和7年度に改訂されていますのでご注意ください。

標高地形図と連動して、低地側は液状化の可能性が高い地域となります。また、上記の液状化予測図は、東京都全域一律の強さで揺らした時の液状化の可能性を示したものになります。
首都直下地震など特定の地震に対する予測図は、東京被害想定マップから確認できます。なお、液状化・急傾斜地に関するお問い合わせ先は、北区建築課構造・耐震化促進係(03-3908-9176)です。
【東京被害想定マップ版】
| PL値 |
PL = 0 |
0 < PL ≤ 5 |
5 < PL ≤ 15 |
PL > 15 |
| 液状化危険度判定 |
液状化危険度は極めて低い。詳細な調査は不要 |
液状化危険度は低い。詳細な調査が必要 |
液状化危険度がやや高い。対策が一般には必要 |
液状化危険度が高い。詳細な調査と対策が必要 |
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まとめ
北区は地域によって標高や地盤の状況が大きく異なるため、物件購入の際には、液状化リスクや洪水リスクを事前に確認することが大切です。今回の改定を踏まえて、押さえておきたい点を整理します。
- 北区の水害ハザードマップは令和7年9月に改定されている
- 川の氾濫(外水)と、下水道があふれる雨水出水(内水)は別物として確認する
- 雨水出水は台地の上でも起こり得る。十条・滝野川周辺でも可能性が指摘されている
- 令和8年3月に東京都が雨水出水浸水想定区域を指定したが、北区のマップへの反映は令和8年度末頃の予定
- それまでは北区のマップと東京都下水道局の図の両方を確認する必要がある
- 半地下・地下室・道路より低い敷地は、内水氾濫でとくに注意(半地下物件をおすすめしない理由)
富士屋不動産では、物件案内時にハザードマップも添付していますので、災害に強いエリアや地震に強い住宅をお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。雨水出水浸水想定区域図についても、ご希望があれば該当箇所を印刷してお渡しします。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
出典・参考資料
※本記事の記載内容は2026年9月6日時点のものです。ハザードマップは改定されることがありますので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。