
北区の特徴②~北区で家を探す際に必見!標高・液状化予測図・ハザードマップの確認ポイント
北区での家探しを検討している方に向けて、今回は北区の標高、液状化リスク、ハザードマップについてご紹介します。北区は「武蔵野台地」と呼ばれる高台と、「荒川低地」と呼ばれる低地に分かれており、地域ごとに異なる地形とリスクが存在します。例えば、JR京浜東北線の西側は高台の武蔵野台地、東側は低地に位置しています。京浜東北線の下り電車からは、左側に崖が見える場所もあります。
なお、北区の水害ハザードマップは令和7年9月に改定されています。本記事では改定後の地図に差し替えたうえで、今回新たに「雨水出水(内水氾濫)」の解説を追加しました。雨水出水については令和8年3月に東京都が新たな区域指定を行っており、北区のハザードマップへの反映はこれからという段階です。この点は物件を検討するうえで見落とされやすいので、後半で詳しくご説明します。
01最新情報 北区水害ハザードマップは令和7年9月改定
現在の「東京都北区水害ハザードマップ」は、荒川・隅田川等・石神井川・高潮のいずれも令和7年9月作成です。下表の「令和元年5月」「令和3年3月」などは、北区ハザードマップ自体の作成年月ではなく、北区マップの基礎となった浸水予想区域図の公表年月です。表では、基となる図・想定降雨・水防法上の位置づけに絞って整理します。
| ハザードマップ | 基となる図 | 想定降雨 | 水防法に基づくか |
|---|---|---|---|
| 荒川が氾濫した場合 |
荒川水系荒川・入間川 洪水浸水想定区域図 (平成28年5月公表/平成30年9月修正) |
荒川流域の 72時間総雨量632mm |
基づく |
|
隅田川・新河岸川・ 神田川が氾濫した場合 |
隅田川及び新河岸川流域浸水予想区域図(令和3年3月) 神田川流域浸水予想区域図(平成30年3月) |
時間最大雨量153mm 総雨量690mm |
洪水は基づく 内水は基づかない |
| 石神井川が氾濫した場合 |
石神井川及び白子川流域 浸水予想区域図 (令和元年5月) |
時間最大雨量153mm 総雨量690mm |
洪水は基づく 内水は基づかない |
|
高潮ハザードマップ (冊子17・18ページ) |
東京都高潮浸水想定区域図 (令和6年12月) |
室戸台風級 (910hPa)を想定 |
基づく |
ここで注目していただきたいのが、右端の「水防法に基づくか」の欄です。北区の現行A1折図裏面に描かれている隅田川・新河岸川・神田川、石神井川の内水氾濫部分は、水防法に基づく雨水出水ハザードマップではなく「参考資料」という扱いです。一方、洪水(外水)部分は水防法に基づくハザードマップです。理由は後半の「雨水出水(内水氾濫)」でご説明します。
02河川ごとの確認 隅田川・新河岸川・神田川が氾濫した場合
想定最大規模降雨(時間最大雨量153mm、総雨量690mm)に伴う、浸水予想区域図(都市型水害対策連絡会)を反映しています。この地図には外水氾濫と内水氾濫の両方が描かれています。
隅田川がはん濫すると、川沿いの「浮間」「志茂」「豊島」エリアは浸水の危険性が高いとされています。一方、「堀船」エリアは、この隅田川・新河岸川・神田川のハザードマップ上では周辺エリアと表示のされ方が異なります。ただし、河川ごと・内水ごとに想定条件が異なるため、この図だけで水害リスクが低いと判断するのは適切ではありません。石神井川や雨水出水の図も併せて確認する必要があります。
03石神井川を確認 石神井川が氾濫した場合
石神井川がはん濫すると「堀船」、「豊島」エリアが浸水する可能性があります。「堀船」エリアは過去に2005年と2010年の2回、大規模な浸水被害が発生しているため、注意が必要ですね。
その他、十条駅周辺エリア、滝野川周辺エリアにおいては、内水はん濫の可能性が指摘されています。
中十条や滝野川あたりでも浸水実績がありますが、こちらには記載されていません。この浸水実績図は主要な実績を表示したもので、浸水実績図に記載がないからといって、浸水リスクがないとは言い切れません。なお、中十条・滝野川周辺の浸水実績については、当社が現地確認やこれまでに把握した情報をもとに独自に確認・整理しているものです。
なお北区では、道路公園課河川係(区役所第一庁舎3階17番)の窓口で、平成3年4月1日から現在までの浸水履歴を閲覧することができます。気になる物件が見つかったら、一度確認しておくと安心です。
04広範囲の浸水に注意 荒川が氾濫した場合
荒川の氾濫によるリスクは、北区の他の河川に比べて広範囲に及ぶことが予想されています。こちらは国土交通省が作成した「荒川水系荒川洪水浸水想定区域図」(荒川流域の72時間総雨量632mm=想定最大規模降雨)が基になっています。
荒川の氾濫は、浸水の深さだけでなく「水が引くまでの時間」も重要です。低地側では浸水が長期間続くことも想定されており、垂直避難(自宅の上階へ逃げる)だけでは対応しきれない場合があります。国土交通省の「荒川3D洪水浸水想定区域図(下流域)」では、ご自宅や職場がどの程度浸水するかを立体的に確認できますので、あわせてご覧になってみてください。
05川があふれなくても浸水 雨水出水(内水氾濫)とは
ここまでご紹介したハザードマップは、いずれも「川があふれる」ことを想定したものです。しかし実際の都市部では、川があふれていないのに道路や住宅が浸水するという事態がしばしば起こります。これが「内水氾濫」で、法令上は「雨水出水(うすいしゅっすい)」と呼ばれています。
東京都下水道局の説明によると、雨水出水とは「下水道の雨水排水能力を上回る、または河川水位の上昇により下水道から河川へ放流できずに発生する氾濫」を指します。ゲリラ豪雨のときにマンホールから水が噴き出したり、道路がみるみる冠水したりするアレですね。
| 外水氾濫(洪水) | 内水氾濫(雨水出水) | |
|---|---|---|
| 何が起きるか |
堤防を越える・決壊して 川の水が市街地に流れ込む |
降った雨を下水道が さばききれず地表にあふれる |
| 起きやすい場所 | 川沿いの低地 |
すり鉢状の窪地、坂下、 地下室・半地下、道路より低い敷地 |
| 台地でも起きるか | 起きにくい | 起きる |
| 速さ | 比較的ゆっくり進行 | 短時間で急激に冠水 |
表の下から2行目、ここが一番お伝えしたいところです。「うちは台地の上だから水害は関係ない」とは言い切れないのが内水氾濫です。北区でいえば十条駅周辺や滝野川周辺は武蔵野台地側ですが、それでも内水はん濫の可能性が指摘されています。台地の上にも小さな谷や窪地があり、そこに雨水が集まってくるからです。
令和8年3月、東京都が「雨水出水浸水想定区域」を指定しました
東京都は、令和3年度の水防法第14条の2の改正に基づき、令和8年3月25日に北区を含む各流域について「雨水出水浸水想定区域」を指定しました。対象降雨は、いずれも1時間最大雨量153mm・24時間総雨量690mmの想定最大規模降雨です。
北区公式サイトでは、現状の北区洪水ハザードマップはこの新しい雨水出水浸水想定区域にまだ対応していないため、東京都下水道局の区域図を確認するよう案内しています。新しい雨水出水情報を反映した北区洪水ハザードマップの改定は、令和8年度末頃が予定されています。
現在の北区A1折図裏面に掲載されている「隅田川・新河岸川・神田川」「石神井川」の内水氾濫区域は、従来の流域浸水予想区域図に基づく参考資料です。令和8年3月25日に新たに指定された、水防法第14条の2に基づく雨水出水浸水想定区域図とは別の図です。
雨水出水浸水想定区域図(北区部分の抜粋)
東京都が令和8年3月25日に指定した雨水出水浸水想定区域のうち、北区に関係する区域を抜粋して掲載しています。下図は「隅田川及び新河岸川流域」と「石神井川及び白子川流域」の北区部分です。物件位置との関係を確認しやすいよう、北区周辺に絞って掲載しています。
東京都下水道局「隅田川及び新河岸川流域 雨水出水浸水想定区域図」
東京都下水道局「石神井川及び白子川流域 雨水出水浸水想定区域図」
北区のマップと新しい区域図を併せて確認
現在の北区ハザードマップは令和7年9月版ですが、その内水部分は今回指定された水防法に基づく雨水出水浸水想定区域にはまだ対応していません。したがって、北区で物件を確認するときは、令和7年9月版の北区水害ハザードマップ+令和8年3月25日指定の東京都雨水出水浸水想定区域図をセットで確認するのが現在の適切な見方です。
物件の位置をピンポイントで確認するなら
東京都建設局「浸水リスク検索サービス」が便利です
区全体を示すハザードマップだけでは、検討している住宅がどの色の境界に入るのか分かりにくいことがあります。東京都建設局の「浸水リスク検索サービス」では、地図や住所から、想定される浸水範囲・浸水深・地盤高・浸水継続時間などを確認できます。
当社では、北区の水害ハザードマップや各区域図を確認したうえで、実際の物件位置を細かく確認するときは、この「浸水リスク検索サービス」を最もよく利用しています。購入を検討している住所が決まっている場合は、こちらも併せて確認するのがおすすめです。
東京都建設局「浸水リスク検索サービス」で調べる ▶※浸水リスク検索サービスは、東京都が公表する浸水予想区域図・洪水浸水想定区域図等をもとに、浸水リスクを地図や住所から検索できるサービスです。新しい雨水出水浸水想定区域については、上記の東京都下水道局の区域図も併せて確認してください。
なお、北区には神田川流域雨水出水浸水想定区域図も関係します。今回追加予定の2枚とは別に、神田川流域に該当する物件については東京都下水道局の神田川流域図も確認します。
重要事項説明との関係
令和2年8月28日施行の宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第3号の2により、私たち不動産会社には、水防法に基づく水害ハザードマップにおける物件の所在地を、重要事項説明で示す義務があります。
ただ前述のとおり、北区の現行マップの内水部分は水防法に基づくものではありません。ですから「重説で説明されなかった=内水リスクがない」わけではないのです。富士屋不動産では、義務の範囲にとどまらず、都の雨水出水浸水想定区域図や現地の地形(坂下かどうか、周囲より低いかどうか)も含めてご説明するようにしています。
半地下車庫・地下室・ドライエリアは要注意
道路面より低い位置にある半地下部分は、短時間の豪雨でも雨水が流れ込みやすく、内水氾濫で特に被害を受けやすい場所です。購入前には、半地下車庫・地下室・ドライエリアの有無や排水計画を必ず確認したいポイントです。実際の被害事例と注意点は、下記の記事で詳しくまとめています。
半地下物件をおすすめしない理由を読む ▶私は自転車で現地を回るようにしているのですが、これは坂の勾配や周囲との高低差が体感で分かるからです。車では気づかない数十センチの差が、内水氾濫では効いてきます。
06高低差を確認 国土地理院のデジタル標高地形図で地形を見る
北区の地形は、武蔵野台地の端に位置しており、高低差が明確です。台地側は浸水や液状化のリスクが低い一方で、低地側では浸水、液状化のリスクが高まります。標高地形図を利用して、どのエリアが浸水や液状化リスクが高いか確認することが重要です。ただし、先ほどご説明したとおり、内水氾濫(雨水出水)については台地側でも油断できません。
続いて環状七号線「大和町」交差点から「隅田川」までの断面イメージ図をご覧ください。
環七と中仙道との交差点「大和町」地点の標高は約26m、埼京線との交差地点で約19m、京浜東北線との交差地点で約8m、国道122号線との交差点「宮堀」では約2mになります。
07地盤も確認 最新の液状化予測図を確認する
続いて液状化予測についてです。下図は東京都の「東京の液状化予測図 令和7年度改訂版」の北区周辺図です。物件を検討する際は、液状化の可能性だけでなく、標高や地形、水害リスクなどもあわせて確認することが大切です。
東京都「東京の液状化予測図 令和7年度改訂版」を確認する
液状化の可能性は、地形や地盤条件などによって地域ごとに異なります。ハザードマップ上の色だけで判断せず、気になる物件については周辺の標高や土地の成り立ちもあわせて確認することが重要です。
首都直下地震など特定の地震に対する予測図は、東京被害想定マップから確認できます。
| PL値 | PL = 0 | 0 < PL ≤ 5 | 5 < PL ≤ 15 | PL > 15 |
|---|---|---|---|---|
| 液状化危険度判定 | 液状化危険度は極めて低い。詳細な調査は不要 | 液状化危険度は低い。詳細な調査が必要 | 液状化危険度がやや高い。対策が一般には必要 | 液状化危険度が高い。詳細な調査と対策が必要 |
08購入前に総合確認 北区で家を選ぶときに確認しておきたいこと
北区は地域によって標高や地盤の状況が大きく異なるため、物件購入の際には、液状化リスクや洪水リスクを事前に確認することが大切です。今回の改定を踏まえて、押さえておきたい点を整理します。
半地下物件をおすすめしない理由
富士屋不動産では、物件案内時にハザードマップも添付していますので、災害に強いエリアや地震に強い住宅をお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。雨水出水浸水想定区域図についても、ご希望があれば該当箇所を印刷してお渡しします。
富士屋不動産では、価格・立地・間取りだけでなく、洪水・内水・液状化・標高・地形・建物性能まで確認しながら物件探しをお手伝いしています。
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