板橋区氷川町のご自宅(土地)を売却し、仲宿のリフォーム済みマンションへ。売却の決済は8月末、購入の決済は昨日。最後までトラブルなく、無事に完了しました。
売却した土地を購入された不動産業者の担当者からは、「こんなにスムーズな取引は何年ぶりだろう」と言われました。特別なことをしたわけではありません。やったのは、段取りと準備だけです。
01 / TIMELINE
8か月で、売却も購入も終わりました
まず、全体の時間軸です。相続税の申告期限(5月末)まではご自宅に住み続ける必要があったため、その間は売却活動をせず、測量と私道掘削承諾の取得だけを先に進めていました。書類がすべて整ってから、売却活動に入っています。
| 時期 |
動いたこと |
| 昨年12月 |
売却のご相談。当初は敷地の一部だけを売りたいというお話。相続税の申告期限(5月末)まではご自宅に住み続ける必要がある状況でした |
| 1月~5月 |
すぐには売却活動を行わず、測量・境界確定・私道掘削承諾の取得を先行。書類が整った段階で売却活動を開始 |
| 5月下旬 |
売却契約。決済は8月末で設定。手付金は多めに設定する条件で交渉 |
| 6月 |
買い替え先の南向き・リフォーム済み住戸が売り出され、即申込。決済までのサイトが長いぶん、手付金を多くお支払いする条件で話がまとまり、契約締結 |
| 8月末 |
売却決済・引渡し完了 |
| 9月上旬 |
購入マンションの決済・お引渡し完了 |
相談から住み替え完了まで8か月。うち約5か月は「売らずに準備していた期間」です。準備期間を先に取れたことが、そのあとの全部を楽にしました。
そもそもは「敷地の一部だけ売りたい」というご相談でした
最初のご相談は、敷地の一部だけを売却したい、というものでした。ただ、この土地は北側8m・東側4mの角地で、北側はバス通り。容積率も300%あります。切り分けてしまうと、売却する側も、手元に残る側も、形と接道条件が悪くなり、坪単価が大きく下がってしまいます。
そこで「一部売却では坪単価が下がってしまいます。思い切って全部売却して、お住み替えを検討されませんか」とご提案しました。返ってきたのが、「土地全部売ることにするから、山本さんに全部任せる」というお言葉でした。
この判断が、結果としてすべての起点になっています。一体の土地として売れたから高値がつき、その売却代金で住み替え先を買えた。一部だけを切り売りしていたら、まったく違う結果になっていたはずです。
残る母屋のことも、判断材料でした
一部を売却して母屋を残す形にした場合、そこに住み続けることになります。ただ、母屋は築45年、旧耐震基準の建物でした。大きな地震が来たときのことを考えると、やはり心配が残ります。
断熱性能も、今の住宅で当たり前になっている水準には届きません。冬場、暖房の効いた居室から廊下や脱衣室、浴室へ移ったときの温度差は、ヒートショックにつながります。年齢を重ねるほど、この差は無視できなくなります。
お住み替え先は、南向きで日当たりのよい住戸です。耐震補強工事も実施済みで、リフォームによって室内も一新されています。地震への備えという面でも、冬の室温という面でも、これから先を健康で快適に過ごしていただける環境になりました。
売却の判断は、価格の話だけではありません。この先どこで、どのような環境で暮らすのか。そこまで含めて考えたときに、住み替えという答えになりました。
02 / 売却先の選び方
大きい土地は、買い手の種類から考える
N様が売却された土地は、板橋区氷川町、土地面積は約140㎡。都営三田線「板橋区役所前」駅から徒歩7分、東武東上線「大山」駅から14分。第一種住居地域で建蔽率60%・容積率300%、北側約8m(バス通り)×東側約4mの角地です。
一般の方がご自宅として買うには、少し大きな土地でした。土地が大きくなると総額も上がり、住宅ローンで購入できる層が急に薄くなります。「広くていい土地なのに、なかなか決まらない」というのは、板橋区でもよくある話です。
一方で、角地で容積率300%をフルに使える、バス通りに面している、という条件は、小規模マンションの用地としては強い材料になります。同じ土地でも、見る人が変われば評価軸そのものが変わるということです。
▲ 売却した氷川町の土地。一般の方がご自宅として買うには少し大きく、事業用地として評価される規模でした
そこで今回は、投資用マンションを建築する不動産業者に購入していただきました。事業者にとっては、一定以上の敷地面積があることがむしろ好条件になります。
一般の方に売るのか、建売業者に売るのか、賃貸・投資用の事業者に売るのか。売り出す前にこの見立てを立てておかないと、価格設定も、販売計画も決まりません。
今回、測量と承諾書の取得を先に済ませていたことは、買主である事業者にとっても大きな意味がありました。測量が終わっていれば、正確な面積をもとに事業計画を組み立てられます。承諾書の取得も完了していれば、承諾が取れずに白紙解約になるリスクを考えずに済みます。判断が早くなり、価格にも反映されるということです。
事業用地として買う会社は、金融機関との調整や建築計画の検討があるため、条件が整っていない土地には手を出しづらい。境界も私道承諾も先に片づいている土地は、それだけで検討のテーブルに乗りやすくなります。
03 / 買い替え先の売主の事情
業者売主は「契約から決済まで」を短くしたい
今回の買い替え先は、不動産業者が売主で、リフォームも完了済みの住戸でした。ここが交渉のポイントになりました。
▲ N様が購入された仲宿のマンション。駅近・南向き・耐震補強実施済み、さらにフルリフォーム済みという住戸でした
業者売主の立場で考えてみてください。仕入れて、リフォーム費用を投じて、その資金には金利がかかっています。決済(=入金)が遅れるほど金利負担が積み上がり、次の仕入れに回す資金繰りも変わってきます。だから業者売主は、契約から決済までの期間をできるだけ短くしたいのです。
実際、ある大手分譲会社では、完成済み物件について「契約から決済まで3週間」といった条件を提示してくることもあります。売れた以上は一日でも早く現金化したい、という発想です。
早く決済したい売主と、8月末まで動けない買主
売主業者:できるだけ早く決済したい(金利負担・資金繰り)
N様:売却決済が8月末。それより前には購入代金を払えない
つまり「契約から決済まで2か月待ってください」という、売主業者にとっては受け入れにくい条件でお願いする必要がありました。
04 / 交渉の中身
手付金10%で、2か月のサイトを買った
そこで、決済までの期間を長く取っていただく代わりに、手付金を売買代金の10%お支払いする条件で申込を入れました。結果、売主業者様も了承してくださいました。
手付金を多く入れることが、なぜ売主にとって安心材料になるのか。理由は2つあります。
理由1:手付金が大きいほど、契約が壊れにくい
契約後に買主の都合で解約する場合、買主は支払った手付金を放棄することになります。つまり、契約から降りるコストは手付金の額そのものです。
手付金が多いほど、買主にとって解約のハードルは上がります。売主から見れば、契約が壊れる可能性がそれだけ小さくなるということです。そして仮に壊れたとしても、手元に残る金額は大きくなります。決済まで2か月待つ売主にとっては、待つ間の不安を小さくできる条件でした。
理由2:10%は、法律上の「ちょうどの線」
手付金10%という数字は、感覚で決めたものではありません。業者売主の取引には、2つの上限ラインがあります。
| ルール |
内容 |
手付の額の制限 (宅建業法第39条第1項) |
業者が自ら売主となる場合、代金の20%を超える手付は受領できない。10%はこの範囲内 |
手付金等の保全措置 (宅建業法第41条の2) |
完成物件では、手付金等が代金の10%を超えるか、または1,000万円を超える場合に保全措置が必要(未完成物件は5%または1,000万円) |
完成物件で「代金の10%以下、かつ1,000万円以下」であれば、売主業者は保全措置を講じずに手付金を受領できます。10%というのは、売主業者にとって余計な手続きやコストを増やさずに受け取れる、実務上いちばん収まりのいい水準なのです。
逆に言えば、代金の10%が1,000万円を超える価格帯では、たとえ10%でも保全措置が必要になります。ここは物件価格によって判断が変わる部分です。
交渉で「渡せるもの」を持っておく
値段を下げてくださいと言うだけが交渉ではありません。相手が何を重視しているのかが分かれば、こちらから差し出せるカードが見えてきます。売主業者が優先するのは早く決済すること。そこを待っていただく代わりに、こちらは「契約が壊れにくい条件」を差し出しました。
05 / 資金のつなぎ方
その手付金10%は、どこから出したのか
手付金を10%用意できたのは、売却契約のときに、受け取る手付金を多めにいただけるよう交渉していたからです。
住み替えでは、売った代金が実際に手元に入るのは、いちばん最後です。ところが購入の手付金は、それよりずっと前に支払わなければなりません。お金が入る前に、お金を出す場面が先に来るということです。
このとき手元の現金が少ないと、手付金を厚くするという交渉そのものができません。使える手が減ってしまいます。
| タイミング |
お金の動き |
5月下旬 売却契約 |
買主(不動産業者)から手付金を多めに受領 |
6月 購入契約 |
その資金を原資に、売主業者へ手付金10%を支払い |
8月末 売却決済 |
残代金を受領。引渡し完了 |
9月上旬 購入決済 |
売却代金で購入残代金を支払い。お引渡し |
売却の手付金交渉と、購入の手付金交渉は、別々の話に見えて、じつはつながっています。売る側の条件設定を、買う側の武器として設計しておく。住み替えの資金計画とは、こういう作業のことだと思っています。
売却と購入をバラバラの会社に頼んでいたら、この設計はできません。それぞれの担当者は自分の取引しか見ていないからです。
購入を急がなくていいように、仮住まいも押さえていました
もうひとつ、先に手を打っていたことがあります。売却の契約をした時点では、購入する物件はまだ決まっていませんでした。そこで、仮住まいの手配も並行して進め、近くのウィークリーマンションを借りることを決めていました。
住み替えでいちばん怖いのは、引渡し日に追われて、条件が合わない物件で妥協してしまうことです。仮住まいを確保しておけば、いったんそこへ移り、納得できる物件が出るまで待つことができます。今回も、条件のいい住戸が出るまでは仮住まいで対応する前提で進めていました。
結果として、南向き・リフォーム済みという条件の住戸が思いのほか早く売り出されました。
仮住まいを先に押さえていたからこそ、焦らずに物件を選べました。段取りというのは、こうした受け皿まで含めて先に用意しておくことだと思います。
06 / まとめ
住み替えは、段取りと準備がすべてでした
8か月を振り返って、あらためて感じたことを整理します。
| やったこと |
効いたこと |
| 売却前に測量・私道承諾を完了 |
事業者が検討しやすい状態になり、契約後の追加交渉が発生しなかった |
| 売却の手付金を多めに設定 |
購入の手付金10%の原資を確保できた |
| 購入の手付金を10%に |
契約から決済まで2か月のサイトを取れた |
| 売却決済を8月末で先に固定 |
購入の決済日を逆算でき、資金がショートしなかった |
住み替えでよく起きるトラブルは、たいてい「順番」の問題です。買ってから売る、売ってから買う、どちらが正解ということではなく、決済日と資金の流れを先に決め、そこから逆算して条件を組み立てられているかどうか。今回はそれが最初にできていた、というだけの話です。
そして何より、N様が必要書類のご準備や確認事項に、いつも即座に対応してくださいました。段取りは、お客様と一緒に作るものです。N様、このたびは誠におめでとうございます。
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板橋区周辺の住み替えは、動く前にご相談ください
売却と購入の順番、決済日の設定、手付金の組み方、売却先の見立て。このあたりは、売り出してからでは選択肢が減ってしまいます。まだ具体的に動く前でも、「何から準備すればいいか」の段階でお話しいただくのがいちばん効果的です。
※ 相続税および譲渡所得税の具体的な取扱いは個別事情により異なります。制度の利用可否や税額については税理士等の専門家にご確認ください。
※ 手付金の額や保全措置の要否は、物件価格・完成状況・売主の属性により変わります。個別の取引条件は契約前に必ずご確認ください。