
【令和8年版】中古住宅の住宅ローン減税|省エネ性能で控除額が最大133万円変わります
新築は手が出ない、中古住宅を検討しているという声を聞く機会が増えました。
今回は、中古住宅の購入を検討されている方に向けて、令和8年からの制度を実務目線で整理します。
令和8年入居分から、中古住宅の扱いが変わりました
改正法(所得税法等の一部を改正する法律)は令和8年3月31日に成立・公布され、住宅ローン減税の部分は同年4月1日に施行されています。適用されるのは、入居日が令和8年1月1日から令和12年12月31日までの方です。
中古住宅に関する変更点は、大きく3つです。
・省エネ性能の高い中古住宅は、控除期間が10年から13年に
・子育て世帯・若者夫婦世帯には、借入限度額の上乗せが新設
・床面積要件が50㎡から40㎡に緩和
国土交通省は改正の狙いを「既存の住宅ストックを最大限に活用することで多様な居住ニーズを満たす住宅市場を構築する」と説明しています。新築価格が上がり続けるなか、国も中古住宅に軸足を移してきた、ということです。
中古住宅の区分別・借入限度額と控除期間
まずは全体像です。控除率はどの区分も0.7%で共通です。ここでいう0.7%は所得税の「税率」ではなく、住宅ローン減税の控除率です。
| 中古住宅の区分 | 借入限度額 | 控除期間 | 最大控除額(理論値) |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円 (4,500万円) |
13年 | 318.5万円 (409.5万円) |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 (4,500万円) |
13年 | 318.5万円 (409.5万円) |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 (3,000万円) |
13年 | 182万円 (273万円) |
| その他の住宅 | 2,000万円 | 10年 | 140万円 |
※表は横にスクロールできます
カッコ内は、子育て世帯・若者夫婦世帯に適用される上乗せ後の金額です。
●子育て世帯…入居した年の12月31日時点で19歳未満の扶養親族がいる世帯
●若者夫婦世帯…夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
「最大控除額」はあくまで制度上の理論値です。実際の控除額は、毎年の年末ローン残高や所得税・住民税の納税額などによって変わるため、この金額がそのまま戻るわけではありません。
出典:国土交通省「住宅ローン減税|既存住宅を取得したとき」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000327.html
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000327.html
「省エネ基準適合」と「その他」で、いくら違うのか
実際に検討される中古マンション・中古一戸建ての多くは、表の3段目「省エネ基準適合住宅」か、4段目「その他の住宅」のどちらかに入ります。差額を出すと、次のとおりです。
●子育て世帯・若者夫婦世帯
273万円 − 140万円 = 最大133万円の差
●上記以外の世帯
182万円 − 140万円 = 最大42万円の差
省エネ基準を満たしていても、証明できる書類がなければ住宅ローン減税では省エネ住宅として扱われません。
上乗せのない世帯は「11年目から13年目」がポイント
子育て世帯・若者夫婦世帯に該当しない場合、「省エネ基準適合住宅」も「その他の住宅」も借入限度額は2,000万円です。
違いは控除期間で、省エネ基準適合住宅は13年、その他の住宅は10年です。
そのため最大差は42万円ですが、11年目以降はローン残高が減っているため、実際の差額は42万円より小さくなるケースが多くなります。
一方、子育て世帯・若者夫婦世帯は、省エネ基準適合住宅なら借入限度額が3,000万円に上がるため、1年目から差が出ます。
床面積40㎡台のマンションも対象になりました
これまで50㎡が壁になっていた床面積要件が、新築・中古ともに40㎡以上に緩和されました。板橋区・北区でよく出てくる45㎡前後のコンパクトマンションが、控除の対象に入ってきます。
ただし、次の方は引き続き50㎡以上が条件です。
・合計所得金額が1,000万円を超える方
・子育て世帯等への借入限度額の上乗せ措置を使う方
なお、ここでいう床面積は登記簿上の表示です。マンションの場合、販売図面に載っている壁芯面積より登記簿面積の方が数㎡小さくなります。図面で42㎡だから大丈夫、と思っていたら登記簿では39㎡台だった、というのは実際に起きるケースです。ご案内の段階で登記簿を確認しますので、気になる物件があればお申し付けください。
省エネ性能は、調べないと分かりません
ここが一番のポイントです。
中古住宅の場合、省エネ性能が販売図面や広告に明示されていないことが多く、売主や仲介会社が把握していないケースも少なくありません。実際には省エネ基準を満たしていても、確定申告で所定の証明ができなければ、省エネ住宅としての借入限度額・控除期間を適用できません。
それぞれの区分の基準は次のとおりです。
●省エネ基準適合住宅
断熱等性能等級4以上 かつ 一次エネルギー消費量等級4以上
断熱等性能等級4以上 かつ 一次エネルギー消費量等級4以上
●ZEH水準省エネ住宅
断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上
断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上
確定申告で省エネ性能を証明する代表的な書類は、住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書の写しです。住宅省エネルギー性能証明書は、建築士事務所に所属する建築士、登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行できます。
なお、2025年4月1日以降に新築された住宅を中古で取得し、「省エネ基準適合住宅」として住宅ローン減税を受ける場合は、国土交通省の案内上、検査済証も証明書類として利用できます。ZEH水準省エネ住宅として申告する場合は、検査済証だけでは足りません。
省エネ性能の調査・評価は「取得後6ヶ月以内」まで可能です
住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書については、原則として証明のための家屋調査・評価が取得の日の前2年以内、または取得の日以後6ヶ月以内に終了していることが必要です。
とはいえ、後回しにするほど資料集めは大変になります。証明にあたっては、設計図書、建築確認関係の書類、検査済証、フラット35の適合証明書、設計住宅性能評価書、BELSの評価書などが手がかりになります。
弊社では、契約前の段階で省エネ性能を確認するための資料が残っているかを確認します。
一戸建てであれば、新築時の建物図面や仕様書などを売主様から取得します。マンションであれば、管理会社や管理人さんに確認し、新築時の竣工図面などの写しを取得できるよう手配します。
また、弊社が売主様側の仲介を担当する場合は、基本サービスとして、その住宅が省エネ基準に適合しているかを確認しています。
ただ、ここまで対応する仲介会社は多くないと思います。省エネ性能を調べても仲介手数料が増えるわけではなく、資料を集めたり、必要に応じて専門家へ確認したりする手間が増えるからです。
以前の記事でも書きましたが、残念ながら不動産業界では、自分たちにメリットがないことには、なかなか動いてくれないということも少なくありません。
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弊社では、物件を紹介して契約するだけではなく、購入後に使える税制や住宅性能まで含めて確認することも、不動産仲介の仕事だと考えています。
要件を満たす「買取再販住宅」は、新築住宅と同等の水準に
不動産会社が中古住宅を買い取り、一定のリフォームを行って再販売する住宅のうち、税制上の要件を満たすものを買取再販住宅といいます。宅建業者が取得してから2年以内に購入すること、新築から10年を経過していること、一定額以上の対象リフォーム工事が行われていることなど、複数の条件があります。宅建業者売主のリノベーション物件がすべて買取再販住宅になるわけではありません。
そのうえで、一定の増改築後に省エネ基準適合住宅以上の省エネ性能を有する住宅となった場合には、新築住宅と同等の水準で住宅ローン減税を受けられます。
たとえば長期優良住宅なら、中古扱いの3,500万円(4,500万円)に対し、買取再販は4,500万円(5,000万円)。同じ「リフォーム済みの中古」に見えても、売主が個人か宅建業者かで枠が変わります。
買取再販住宅として確定申告する場合は、原則として増改築等工事証明書が必要です。リノベーション済み物件を検討される際は、「この物件は住宅ローン減税上の買取再販住宅に該当するか」「増改築等工事証明書を交付できるか」を契約前に確認しておくのがおすすめです。
出典:国土交通省「買取再販住宅を取得したとき」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000328.html
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000328.html
省エネ性能とは別に、押さえておきたい基本要件
省エネの話に気を取られて、足元の要件を落とすともったいないので、あわせて確認しておきましょう。
■ 築年数(耐震)
昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であれば、耐震関係の証明書は不要です。それ以前の建物は、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書のいずれかが必要になります。
昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であれば、耐震関係の証明書は不要です。それ以前の建物は、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書のいずれかが必要になります。
■ 所得
住宅ローン減税を受ける方ごとに、合計所得金額が2,000万円以下であることが必要です。共働きの場合も、夫婦の所得を合算するのではなく、それぞれ個別に判定します。
住宅ローン減税を受ける方ごとに、合計所得金額が2,000万円以下であることが必要です。共働きの場合も、夫婦の所得を合算するのではなく、それぞれ個別に判定します。
■ 借入
借入金の償還期間は10年以上必要です。繰上返済をした場合は、当初の最初の返済月から繰上返済後の最終返済月までの期間が10年以上ある必要があります。
借入金の償還期間は10年以上必要です。繰上返済をした場合は、当初の最初の返済月から繰上返済後の最終返済月までの期間が10年以上ある必要があります。
■ 入居時期
引渡しから6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで住み続けること。リフォームを挟む場合、工期次第で6ヶ月を超えるおそれがあるため、契約前に段取りを詰めておく必要があります。
引渡しから6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで住み続けること。リフォームを挟む場合、工期次第で6ヶ月を超えるおそれがあるため、契約前に段取りを詰めておく必要があります。
■ 売主との関係
住宅の取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある方から取得した住宅、または贈与により取得した住宅は対象外です。親族間売買だから一律に住宅ローン減税が使えないわけではありません。
住宅の取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある方から取得した住宅、または贈与により取得した住宅は対象外です。親族間売買だから一律に住宅ローン減税が使えないわけではありません。
■ 手続き
初年度はご自身で確定申告が必要です。会社員の方も1年目だけは必ず申告してください。2年目以降は年末調整で処理できます。
初年度はご自身で確定申告が必要です。会社員の方も1年目だけは必ず申告してください。2年目以降は年末調整で処理できます。
まとめ:中古住宅は「調べた人」が得をする制度になりました
令和8年からの住宅ローン減税を、中古住宅の購入検討者目線で整理すると、こうなります。
・省エネ性能が確認できれば控除期間は13年、確認できなければ10年
・子育て世帯・若者夫婦世帯なら借入限度額の上乗せがある
・床面積40㎡台の物件も対象に(上乗せを使うなら50㎡以上)
・省エネ性能の調査・評価は取得後6ヶ月以内まで可能
建物の性能そのものは、調べても調べなくても変わりません。しかし、その性能を証明できるかどうかで住宅ローン減税の取扱いが変わる可能性があります。中古住宅では、価格・間取りだけでなく、こうした性能と証明書類まで確認しておくことが大切です。
弊社では、ご検討中の物件について省エネ基準に適合しそうかどうかを事前に調べ、必要であれば専門家に計算を依頼する流れまでご案内しています。「この物件、対象になりますか?」の一言で結構です。物件情報をお持ちいただければ確認いたします。
なお、控除額の具体的な試算や申告方法の個別判断については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。制度は今後も改正される可能性があります。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
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