
中古一戸建ての売却時に建物状況調査はするべき?
建物状況調査の重要性とは?
中古住宅の売買の際には、仲介不動産会社は宅建業法に従って、媒介契約書面、重要事項説明書や売買契約書に「建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんの有無」など、所定の事項を記載しなければなりません。
今回は、建物状況調査が売却にどのような影響を与えるのか、実際に取り扱った築10年の一戸建ての事例も交えて解説します。
01建物の状態を把握する建物状況調査とは?

「建物状況調査」とは、国土交通省の定める講習を修了した建築士が行う建物の検査です。具体的には、以下の部分を対象に検査を行います。
- 建物の構造耐力上主要な部分(基礎や柱など)
- 雨水の浸入を防止する部分(屋根や外壁など)
調査では、ひび割れや雨漏りなどの劣化・不具合を確認し、報告書としてまとめられます。
「建物状況調査」を実際に行うかどうかは売主の判断になり、購入希望者が調査を希望しても、売主の許可がなければ行うことはできません。
買主が希望すれば買主の費用負担で調査することを許可する売主もいますが、弊社が一戸建ての売却の依頼を受ける際には、原則として、媒介契約締結と同時に売主の費用負担で「建物状況調査」を行っていただいております。
02売却前に把握するメリット売主が建物状況調査を行うメリット
1.引渡し後のトラブル回避
売却後に雨漏りや構造の劣化が見つかった場合、売主が責任を負うケースがあります。事前に調査を行うことで、建物の状態を把握し、トラブルのリスクを減らすことができます。
2.購入者の安心感を提供
購入希望者に建物状況調査報告書を提示することで、建物の状態に対する不安を軽減し、購入を後押しします。また、近隣の競合物件との差別化にもつながります。
3.売却スピードと価格の向上
建物の状態が明確になることで、早期売却や、価格面で納得感のある取引につながることが期待できます。ただし、調査だけで早期・高値売却が保証されるわけではありません。
03費用と不具合発見への対応デメリットも確認しておきましょう
1.費用負担
調査費用は3万~10万円程度かかります(調査範囲や建物規模などによって異なります)。
2.購入者への説明
不具合が見つかった場合、その内容を購入者に正確に伝える必要があります。
3.不具合発見による対応
不具合が見つかった場合、補修費用の負担や売買代金の調整が必要になる可能性があります。
04実際の売却事例板橋区大原町|築10年の中古一戸建てで実施した建物状況調査
2020年に弊社が売却をお手伝いした板橋区大原町の中古一戸建てでは、販売前に建物状況調査を実施しました。2010年2月築で、売却当時は築約10年の木造3階建て住宅です。調査の結果、外壁サイディングのシーリング材に劣化があり、外壁全体のシーリング材を打ち替えないと既存住宅瑕疵保証には加入できないという判定でした。
| 検査種別 | 総合判定 |
|---|---|
| 建物状況調査 | 劣化事象等あり |
| 給排水管路検査 | 劣化事象等なし |
| 既存住宅瑕疵保証 | 申込み不可(調査時点) |
基礎、柱や床などの構造部分については、調査で特に問題は確認されませんでした。一方、外壁サイディングのシーリング材がへこんでいたり、一部切れていたりする箇所が見つかりました。以下の劣化事象の写真と上記の調査報告書は、すべてこの板橋区大原町の一戸建てで実際に確認されたものです。


05築浅でも慎重な確認が必要建物状況調査が行えない場合は?
建物状況調査を実施しない物件も存在します。築1年の一戸建てでも「契約不適合責任免責」として売り出されているケースがあります。免責特約がある場合には、契約内容と売主が知りながら告げなかった事実の有無などによって責任の範囲が異なるため、十分な確認が必要です。
築1年なのに「契約不適合責任免責」で、さらに建物状況調査も行えないとなると、売主側にどのような事情があるのか気になります。弊社では、お客様がその家を気に入っていても、リスクを確認できない状態なら安易におすすめしません。
それでも、人気の小学校の学区域で希少性の高い一戸建てだから、どうしても欲しいという方には、売主側の不動産会社名をお伝えして、直接お問い合わせいただくこともあります。
新着・未公開情報だけを求めるお客様には合わない営業スタイルかもしれません。それでも、弊社の考え方を信頼してくださるお客様のために、このスタイルを大切にしていきます。
06補修内容を事前に共有建物状況調査は購入検討者の安心につながる
調査で不具合が見つかると売りにくくなりそう、補修費用分の値下げ交渉があるかもしれない、と心配になるかもしれません。しかし購入検討者にとっては、補修が必要な箇所と費用の目安が事前に分かる方が、判断しやすくなります。
07売主・買主双方に意味があるまとめ
新築一戸建てやマンションの価格高騰により、新築は予算的に厳しいから中古一戸建てを探している方も増えてきた印象です。そのような中で、建物状況調査を行うことは、売主・買主双方にとってメリットが大きいと思います。
近隣の競合物件より築年数が古くても、調査で建物の状態をきちんと伝えることで、購入検討者の安心につながります。結果として、納得感のある価格やスムーズな売却につながる可能性があります。