No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
概要
●所有期間が長期(10年超) の居住用財産を売却したとき、通常より低い税率で課税される特例。
●「3,000万円控除の特例」とは重複適用が可能(ただし他の特例との重複は不可)。
主な適用要件
●売った年の1月1日時点で所有期間が10年超 の居住用不動産であること(売却日時点ではなく、その年の1月1日で判定します)。
●マイホームの売却(現住または過去に住んでいた、住まなくなって3年以内など)。
●売却先が特別関係者でないこと。
●過去2年以内に同じ軽減税率の特例を受けていないこと。
●買換え特例・交換の特例など他の特例を受けていない こと(3,000万円特別控除は併用可)。
軽減税率
● 6,000万円以下の部分:所得税10.21%+住民税4%=合計14.21%
● 6,000万円超の部分:所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%
【上乗せ分の扱い】令和8年(2026年)12月31日までに生じる所得は、所得税額に復興特別所得税2.1%が上乗せされます。令和9年(2027年)1月1日以後に生じる所得については、令和8年度税制改正により復興特別所得税の税率が1.1%へ引き下げられる一方、防衛特別所得税1%が新たに課されます。上乗せ分の合計は2.1%のまま変わらないため、上記の14.21%・20.315%という合計税率も当面変わりません。なお復興特別所得税の課税期間は令和29年(2047年)12月31日まで10年延長されました。
申告時の注意
●確定申告が必要で、登記事項証明書や住民票などを添付。
●3,000万円控除と合わせて適用する場合は、その計算を正しく行う。
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No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例(課税の繰り延べ)
概要
●10年を超えて所有し、10年以上住んだマイホームを令和9年12月31日までに売却して、新たな自宅を買い換えた場合、いったん発生した譲渡益に対する課税を将来に繰り延べできる特例。
●売却時点で譲渡益は課税されない(非課税ではなく、先送り)。買い換えた家を将来売るときに、繰り延べた分もまとめて課税されます。
主な適用要件
●令和9年12月31日までに売却すること(令和8年度税制改正で2年延長されました)。
●売却代金が1億円以下で、売った家・買った家ともに日本国内にあること。
●居住期間が10年以上、かつ売った年の1月1日時点で家屋・敷地の所有期間がともに10年超であること(「10年以上」ではなく「10年超」です)。
●売却相手が親子・夫婦などの特別関係者でないこと。
●売った年・その前年・前々年に3,000万円特別控除、軽減税率の特例、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けていないこと。
●売った年の前年から翌年までの3年の間に買い換えること。入居期限は、売った年かその前年に取得したときは売った年の翌年12月31日まで、売った年の翌年に取得したときは取得した年の翌年12月31日まで。
●買い換える建物の床面積が50㎡以上、買い換える土地の面積が500㎡以下であること。
●中古住宅を買う場合は、取得の日以前25年以内に建築されたもの、または一定の耐震基準を満たすものであること。
●新築(建築後使用されたことのない住宅)を買い、令和6年1月1日以後に入居する場合は、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上などの省エネ基準を満たすこと(令和5年12月31日以前に建築確認を受けたもの、令和6年6月30日以前に建築されたものを除きます)。
令和8年度税制改正で追加された要件(ハザードエリア)
令和8年1月1日以後に売却した場合の買い換え先について、令和10年1月1日以後に入居する(見込みの)新築未使用の家屋のうち、災害危険区域等の中に建てられたものは、この特例の対象から除かれました。ここでいう災害危険区域等とは、災害危険区域・地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害特別警戒区域・浸水被害防止区域を指します。該当しないことを明らかにする書類を、納税地の所轄税務署長へ提出する必要があります。
買い換え先を探す段階でハザードマップの確認が欠かせなくなった、という点が実務上の大きな変更点です。
申告時の注意
●売却・購入ともに契約書や登記事項証明書などの添付が必要。
●住宅ローン控除とは併用できません(入居した年・その前年・前々年にこの特例を受けた場合、住宅ローン控除は受けられません)。
●将来、その買い換えた家を売却する際には、今回繰り延べた分を含めて課税対象となります。
No.3358 売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき
概要
●新居の購入額<旧居の売却額の場合、差額分は譲渡所得として課税が生じる。
計算イメージ
収入金額 = 旧居の売却額-新居の購入額
必要経費 = (旧居の取得費+譲渡費用) × (収入金額÷売却額)
譲渡所得 = 収入金額-必要経費
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No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(損益通算・繰越控除)
概要
●自宅を売って損失が出た場合、令和9年12月31日までに一定の条件で新たなマイホームを買い換えると、その譲渡損失を給与所得など他の所得と通算でき、控除しきれない部分は最大3年間繰り越し可能(令和8年度税制改正で2年延長されました)。
●買い換え先の住宅ローンが10年以上あること。住宅ローン控除との併用は可能です。
●令和8年1月1日以後の売却分については、買い換え先が新築未使用家屋で令和10年1月1日以後に入居する場合、災害危険区域等の中に建てられた家屋は対象外となります(買換え特例と同じ改正)。
主な適用要件
●売却した旧居宅の所有期間が5年超であること。
●住まなくなって3年以内 に売却すること(家屋の取壊し・被災した場合などにも条件あり)。
●新たに買った家屋が国内にあり、床面積50㎡以上、かつ取得から一定期間内に居住すること。
●新居について償還期間10年以上の住宅ローンを有していること。
●親子・夫婦など特別関係者への売却でない こと。
繰越控除の制限
●合計所得金額が3,000万円超の年は繰越控除ができない。
●敷地面積が500㎡超の部分は除外など細かな要件あり。
申告時の注意
●確定申告が必要。
●売却契約書や登記事項証明書、ローン残高証明書など 多くの添付書類が必要。
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(損益通算・繰越控除)
概要
●令和9年12月31日までに、ローン残高より低い金額で自宅を売って譲渡損失が生じた場合、損益通算や繰越控除が可能(令和8年度税制改正で2年延長されました)。
●新たなマイホームを購入しない場合でも適用可(買い換え不要)。
主な適用要件
●売却したマイホームの所有期間が5年超であること。
●売買契約日の前日において、残債10年以上の住宅ローンがあること。
●売却先が特別関係者でないこと。
●売却額がローン残高を下回ること。
●過去2年以内に3,000万円特別控除や買換え特例などを受けていないこと(同様の損失特例とも重複適用不可)。
繰越控除
●翌年以後3年まで 損失を繰り越せる。
●合計所得金額が3,000万円超となる年は繰越控除不可。
申告時の注意
●確定申告必須。
●住宅ローン残高証明書、登記事項証明書など必要書類が多い。
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3,000万円特別控除)
概要
●相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋(いわゆる “空き家”)を、一定の要件のもと 3,000万円まで譲渡所得から控除可能な特例(令和6年1月1日以後の譲渡で、相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円までとなります)。
●適用期間:平成28年4月1日~令和9年12月31日までに売却した場合。
主な適用要件
●相続開始の直前において、被相続人以外に居住していた人がいなかった家屋であること(老人ホーム入所など例外もあり)。
●※昭和56年5月31日以前に建築、区分所有建物でないこと。
●相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却。
●売却代金が1億円以下。
●相続してから売却まで事業や賃貸・居住に使っていないこと。
●他の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費加算など)との重複不可。
●特別関係者への売却でない こと。
※売り方(家のまま売る or 解体してから売る)によって異なる要件。
大きく分けて下記3パターンのいずれかに当てはまる必要があります。
(イ) 家をそのまま売る場合
家屋 (または家屋+敷地)を相続したままの状態で売る。その際、家屋・敷地について、相続の時から売却まで事業に使ったり、誰かに貸したり、自分が住んだりしていないこと(=完全な空き家状態)。売却時点で 一定の耐震基準 を満たしていること(旧耐震なら耐震リフォームしている等)。
(ロ) 家を解体して更地にしてから売る場合
相続した家屋を解体し、土地だけを売る。この場合、家屋は「相続から解体まで」使っていない(事業用や賃貸用、居住用にしていない)、敷地についても「相続から売却まで」使っていないこと。
解体後から売るまでの間、駐車場など他の構築物を建てていない(“更地”のまま)といった状態であることが要件となります。
(ハ) 売却時には耐震基準を満たしていないが、売却後、翌年2月15日までの間に耐震リフォーム・解体等を行う場合(令和6年1月1日以降)は、売却自体は家が旧耐震のままでも、売却日から翌年2月15日までに耐震リフォーム完了(または全部解体)すれば要件を満たします。
申告時の注意
●確定申告必須。
●市区町村長が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」 など、書類の添付が必要。
No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
概要
●被相続人が要介護認定等で老人ホーム等へ入所していたために、相続開始直前には実際に居住していなかった空き家でも、一定要件を満たせば被相続人居住用家屋(空き家特例の対象)とみなされる。
主な適用要件
●要介護・要支援認定などを受けた被相続人が、特定の老人ホーム等に入所していたこと。
●被相続人が居住しなくなった後も、家屋は被相続人の私物保管などに供されていただけで、事業や賃貸、人の居住などに使っていないこと。
●昭和56年5月31日以前に建築、区分所有建物でない、被相続人以外に住んでいた人がいないなど、空き家特例の基本要件を満たすこと。
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どの特例とどの特例が併用できる?早見表
特例は「使えるかどうか」より「どれを選ぶか」で税額が変わります。よくある組み合わせをまとめました。
| 組み合わせ |
可否 |
ポイント |
| 3,000万円特別控除 + 軽減税率の特例 |
○ |
所有期間10年超なら両方使える。控除後の金額に軽減税率を適用 |
| 3,000万円特別控除 + 買い換え特例 |
× |
どちらか一方を選択。譲渡益が3,000万円以下なら控除が有利なケースが多い |
| 3,000万円特別控除 + 住宅ローン控除 |
× |
住み替えで最も判断に迷う組み合わせ。買い換え先のローン残高と譲渡益の大きさで比較 |
| 買い換え特例 + 住宅ローン控除 |
× |
入居年・その前年・前々年に買い換え特例を受けると住宅ローン控除は不可 |
| 譲渡損失の繰越控除 + 住宅ローン控除 |
○ |
売却損が出た住み替えでは両方使える。損失が大きいほど効果が大きい |
| 空き家の3,000万円控除 + 自宅の3,000万円控除 |
△ |
同じ年に両方適用する場合、合わせて3,000万円が限度 |
| 空き家の3,000万円控除 + 取得費加算の特例 |
× |
相続税を納めた方は、どちらが有利か試算して選択 |
マイホーム売却の税金 よくあるご質問
Q. 売却して利益が出なくても確定申告は必要ですか?
A. 3,000万円特別控除を使って税額がゼロになる場合でも、確定申告をしなければ特例は適用されません。損失が出た場合も、損益通算や繰越控除を使うなら申告が必要です。
Q. 転勤で引っ越した後に売っても3,000万円控除は使えますか?
A. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば適用できます。たとえば令和5年3月に引っ越した場合、令和8年12月31日までが期限です。
Q. 所有期間10年超の判定はいつを基準にしますか?
A. 売った年の1月1日時点で判定します。取得日から売却日までで10年を超えていても、その年の1月1日時点で10年以下なら軽減税率は使えません。年内に売るか翌年に売るかで税額が変わることがあります。
Q. 買い換え特例の期限は令和7年12月31日で終わったのではないですか?
A. 令和8年度税制改正で令和9年12月31日まで2年延長されました。ただし令和8年1月1日以後の売却分は、買い換え先が災害危険区域等に建てられた新築未使用住宅である場合は対象外となる要件が加わっています。
Q. 取得費が分からない古い家でも特例は使えますか?
A. 特例の適用自体は可能です。購入時の契約書が見つからない場合は売却価格の5%を取得費とする概算取得費を使えますが、税額が大きくなりがちです。まずは契約書・領収書・当時のローン書類を探すことをおすすめします。
最後に
これらの特例は併用不可のものが多いため、どの特例を利用するか慎重に確認が必要です。特例適用には確定申告が必須であり、要件不備や書類不足で認められないケースもあります。
条件や期限は法改正などで変更される場合があるため、最新の国税庁ウェブサイトや税理士等の専門家 へ確認することを強くおすすめします。
出典(2026年9月時点)
・国税庁 タックスアンサー No.3302/No.3305/No.3306/No.3307/No.3355/No.3358/No.3370/No.3390
・国税庁「個人の方が株式等や土地・建物等を譲渡した場合の令和8年度税制改正のあらまし」(令和8年5月)
・国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」(令和8年5月)
・財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)
・国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)
・所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号/令和8年3月31日公布)
・根拠条文:措法31の3、35、36の2、36の5、41の5、41の5の2