
マイホーム売却時の特例 簡易フローチャート
不動産を売却したときの譲渡所得税について、マイホームの3,000万円特別控除、軽減税率、買換え特例、譲渡損失の特例、相続した空き家の特例、平成21年・22年取得の土地等の1,000万円特別控除など、主な制度の候補を順番に確認できる簡易フローチャートです。
このフローチャートは主な特例を整理するためのもので、すべての譲渡所得の特例を網羅するものではありません。最終的な適用可否は、売買契約・取得時期・居住状況・過去の特例利用などによって変わります。
土地・建物を売却したときの税金|主な特例の簡易フローチャート
Q1. 売却する物件の種類を選んでください
・現在、自分が住んでいる家屋
・以前に自分が住んでいた家屋で、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するもの
・上記の家屋とともに売る敷地や借地権
以前住んでいた家を転居後に賃貸していても、上記期限内なら3,000万円特別控除等の対象になり得ます。
一方、投資用・賃貸収益目的で取得し、自分の居住用として使用していない物件や、別荘・保養目的の物件は通常このルートではありません。
※ 家屋を取り壊して敷地だけを売る場合などは別途要件があります。
Q2. 譲渡所得の計算結果は、利益と損失のどちらですか?
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費は購入代金や購入時の一定の費用などから、建物の減価償却相当額を差し引いて計算します。取得費が分からない場合などは、売却額の5%を概算取得費とできる場合があります。
譲渡費用には、売却のために直接要した仲介手数料、印紙税、一定の測量費・解体費などが含まれます。
計算結果がプラスなら譲渡益、マイナスなら譲渡損失です。
Q3. 譲渡益は3,000万円以下ですか?
譲渡益 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
なぜ3,000万円が基準になるのか?
マイホームを売却した場合、「3,000万円特別控除」という特例があり、譲渡益から最大3,000万円を差し引けます。
✔ 譲渡益が3,000万円以下→ 控除後の課税益がゼロになる可能性あり
✔ 譲渡益が3,000万円超→ 超えた分に課税(買換え特例との比較検討が重要)
※ どちらの場合も次のSTEPに進みます
Q4. 売却した年の1月1日時点で、所有期間は10年を超えていますか?
10年超の場合に検討できる主な特例
・マイホームの軽減税率の特例
・特定のマイホームの買換え特例(こちらは別途、旧居への居住期間10年以上などの要件あり)
軽減税率の特例そのものに「居住期間10年以上」という要件はありません。
3,000万円特別控除と軽減税率は、要件を満たせば併用できます。
Q5. 所有期間は5年を超えていますか?
判定基準日:売却した年の1月1日時点での所有期間
税率の違い(3,000万円控除後の残額に適用):
✔ 5年超(長期)→ 所得税等15.315%+住民税5%=合計20.315%
✗ 5年以下(短期)→ 所得税等30.63%+住民税9%=合計39.63%
※ どちらの場合でも3,000万円特別控除は所有期間にかかわらず適用できます
Q5. 自宅を買い換えますか?
「特定のマイホームの買換え特例(課税の繰り延べ)」を検討できます。ただし、3,000万円特別控除や軽減税率とは選択適用です。
買い換えない場合
3,000万円特別控除を検討し、所有期間10年超なら軽減税率との併用も検討します。
※ 買換え特例は非課税ではなく、譲渡益への課税を将来へ繰り延べる制度です。どちらが有利かは、譲渡益・新居価格・将来の売却予定などで変わります。
Q6. 「特定のマイホームの買換え特例」の主な要件を満たしていますか?
・旧居を令和9年(2027年)12月31日までに売却すること
・旧居の所有期間が売却年の1月1日時点で10年超
・旧居への居住期間が通算10年以上
・売却額が1億円以下
・買換え資産は原則として売却年の前年から翌年までの間に取得すること
・新居の床面積が50㎡以上、土地面積が500㎡以下
・中古住宅は築年数または耐震基準の要件を確認すること
・一定の新築未使用住宅は省エネ基準の要件を確認すること
令和8年度改正
令和8年1月1日以後の旧居の譲渡について、令和10年1月1日以後に入居する新築未使用住宅が災害危険区域等にある場合は原則対象外です。ただし、建築確認時に新築する土地の全部が当該区域外だったものは除かれます。
Q7. 買い換えた金額は、旧居の売却額以上ですか?
買換え額 ≧ 売却額
今回の譲渡所得への課税は全額が将来へ繰り延べられます。
買換え額 < 売却額
差額を「収入金額」として、国税庁の計算式により今回課税される譲渡所得を計算します。
買換え特例:買換え額が旧居の売却額より少ない場合
- 収入金額 = 旧居売却額 − 買換え額
- 必要経費 =(旧居の取得費 + 譲渡費用)×(収入金額 ÷ 旧居売却額)
- 今回課税される譲渡所得 = 収入金額 − 必要経費
- 残る繰延べ分は、買換え資産の取得価額の計算に引き継がれ、将来の売却時に影響します。
- 買換え特例を選択した場合、3,000万円特別控除・軽減税率とは併用できません。
買換え額が売却額より少ない場合の概算シミュレーター
- 買換え特例と3,000万円特別控除は選択適用です。
- 有利不利は個別計算が必要です。申告前に税務署または税理士へ確認してください。
売却する土地等は、平成21年(2009年)または平成22年(2010年)に「購入」したものですか?
・平成21年または平成22年に取得した国内の土地・土地の上に存する権利であること
・平成21年取得分は平成27年以後、平成22年取得分は平成28年以後の譲渡であること
・相続、遺贈、贈与、交換などによる取得ではないこと
・親子・夫婦など特別な関係にある者からの取得ではないこと
・同じ土地等について、他の譲渡所得の特例を受けないこと
※ この控除は建物部分ではなく、その土地等に係る譲渡所得が対象です。住宅ローン控除との関係も含め、3,000万円特別控除等との比較が必要です。
マイホーム売却で、土地等の1,000万円特別控除も候補になるケース
- マイホームの譲渡所得から最大3,000万円を控除
- 所有期間10年超で要件を満たせば、軽減税率との併用も可能です。
- 新居の住宅ローン控除とは、入居年・前2年・後3年の計6年間にまたがる併用制限があります。
- 対象となる土地等に係る譲渡所得から最大1,000万円を控除
- 建物・構築物は対象外。借地権など「土地の上に存する権利」は対象になり得ます。
- 住宅ローン控除の不適用対象として列挙されている居住用3,000万円控除等とは扱いが異なりますが、住宅ローン控除自体の要件は別途確認が必要です。
- 同じ土地等について他の譲渡所得の特例との重複適用はできません。
- 「3,000万円控除」「軽減税率」「1,000万円控除」「住宅ローン控除」の組合せは個別条件で結果が変わります。
- 最終的な選択は税務署または税理士へ確認してください。
Q3. 所有期間は5年を超えていますか?
判定基準日:売却した年の1月1日時点での所有期間
なぜ5年超が必要か?
マイホームの譲渡損失を他の所得と通算(相殺)できる特例は、所有期間5年超が前提条件です。
✔ 5年超 → 次のSTEPで特例要件を確認できます
✗ 5年以下 → 損失が出ていても損益通算・繰越控除は認められません
※ 取得日の考え方:税務上の取得時期で判定。相続で取得した場合は被相続人の取得日を引き継ぎます
Q4. 次のどちらかの特例の要件を満たしますか?
・旧居は売却年の1月1日時点で所有期間5年超
・新居は売却年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得
・新居の床面積50㎡以上
・新居を取得した年の翌年12月31日までに居住する、または居住見込み
・新居を取得した年の12月31日時点で償還期間10年以上の住宅ローンがあること
② 買い換えなしでも可:特定のマイホームの譲渡損失
・旧居は売却年の1月1日時点で所有期間5年超
・売買契約日の前日に、その旧居に係る償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
・売却額が、その住宅ローン残高を下回ること
※ いずれも、親子・夫婦など特別関係者への売却、過年度に使った特例などによる適用除外があります。
Q5. 新居への買い換えはありますか?
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失」の特例を確認します。新居について、取得時期・床面積・入居期限に加え、新居取得年の12月31日時点で償還期間10年以上の住宅ローンがあることなどが必要です。
買い換えない場合
「特定のマイホームの譲渡損失」の特例を確認します。旧居の売買契約日の前日に償還期間10年以上の住宅ローン残高があり、売却額がその残高を下回ることなどが必要です。
Q2. 譲渡所得の計算結果は、利益と損失のどちらですか?
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)
建物の取得費は減価償却相当額を差し引いて計算します。
非業務用建物と、賃貸・事業に使った業務用建物では減価償却の計算方法が異なりますので、投資用・賃貸用物件は確定申告資料で確認してください。
Q4. 所有期間は5年を超えていますか?
判定基準日:売却した年の1月1日時点での所有期間
(例)2025年に売った場合 → 2025年1月1日時点で5年超かどうかで判定
税率の違い:
✔ 5年超(長期譲渡所得)→ 合計20.315%(所得税等15.315%+住民税5%)
✗ 5年以下(短期譲渡所得)→ 合計39.63%(所得税等30.63%+住民税9%)
※ 次のSTEPでは平成21年・22年取得の土地等の1,000万円特別控除を確認します。その他の個別特例はこの簡易フローでは扱いません
Q5. 平成21年・22年取得の土地等の1,000万円特別控除に該当しますか?
・平成21年1月1日〜平成22年12月31日に取得した国内の土地または土地の上に存する権利
・平成21年取得分は平成27年以後、平成22年取得分は平成28年以後に譲渡
・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済などによる取得ではないこと
・親子・夫婦など特別な関係にある者からの取得ではないこと
・同じ土地等について他の譲渡所得の特例を受けないこと
※ 2026年の譲渡であれば、平成21年・22年取得分の「譲渡年」の要件は満たします。建物・構築物はこの1,000万円控除の対象外です。
Q3. 「相続した空き家の特別控除」の主な要件を満たしていますか?
・相続または遺贈により取得したこと
・家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物ではないこと
・相続開始直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと(老人ホーム等は一定の例外あり)
・相続後、売却まで事業・賃貸・居住に使用していないこと
・売却額が1億円以下であること
・相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・耐震改修・解体等の要件を満たすこと(令和6年以後は一定の場合、売却翌年2月15日までの対応でも可)
※ 令和6年1月1日以後の譲渡で、対象財産を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上の場合、各人の控除上限は2,000万円です。
マイホーム以外の土地・建物で譲渡損失が出た場合
- 土地・建物の譲渡損失は、まず他の土地・建物の譲渡所得から控除できます。
- それでも残る損失は、原則として給与所得・事業所得など他の所得とは損益通算できません。
- 居住用財産については一定の例外がありますが、このルートは「マイホーム以外」を前提としています。
- 転居後に賃貸していても、居住用財産の期限・要件を満たす場合があります。
- 該当しそうな場合は「最初から」に戻り、マイホームのルートで確認してください。
マイホーム:3,000万円特別控除+短期譲渡所得
- 要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。
- 控除後に課税所得が残り、売却年の1月1日時点で所有期間5年以下なら、短期譲渡所得の基本税率39.63%で計算します。
- 前年・前々年に3,000万円特別控除や買換え特例など一定の居住用財産の特例を受けている場合は、適用できないことがあります。
- 親子・夫婦など特別関係者への売却は対象外です。
- 入居年・前2年・後3年の計6年間に、自己居住用の3,000万円特別控除等を使うと住宅ローン控除を受けられない場合があります。
マイホーム:3,000万円特別控除+長期譲渡所得(10年超なら軽減税率も検討)
- 所有期間の長短を問わず、要件を満たせば最大3,000万円控除
- 以前住んでいた家でも、原則として住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が対象です。
- 親子・夫婦など特別関係者への売却は対象外です。
- 売却年の1月1日時点で家屋・敷地の所有期間が10年超
- 課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は合計14.21%
- 6,000万円超の部分は通常の長期税率相当で計算します。
- 3,000万円特別控除と軽減税率は、要件を満たせば併用可能です。
- 軽減税率には「居住期間10年以上」という要件はありません。
概算税額シミュレーター(参考)
- 新居の住宅ローン控除は、入居年・前2年・後3年の計6年間に3,000万円特別控除や軽減税率等を使うと適用できない場合があります。
買換え特例:買換え額が旧居の売却額以上の場合
- 要件を満たし、買換え額が売却額以上なら、今回の譲渡所得への課税は全額が将来へ繰り延べられます。
- 非課税ではなく、将来その買換え資産を売却するときの取得費計算に影響します。
- 3,000万円特別控除・軽減税率とは併用できません。
- 令和10年1月1日以後に入居する新築未使用住宅の災害危険区域等要件にも注意してください(建築確認時の敷地が全て区域外だった場合の例外あり)。
- 3,000万円特別控除を使い、所有期間10年超で軽減税率の要件を満たせば併用を検討できます。
- どちらが有利かは、譲渡益・買換え額・住宅ローン控除・将来の売却予定などによって変わります。
3,000万円特別控除を選んだ場合の概算税額(参考)
マイホームの譲渡損失:買い換えあり
- 旧居は売却年の1月1日時点で所有期間5年超
- 新居は売却年の前年1月1日から翌年12月31日までに取得
- 新居の床面積50㎡以上
- 新居取得年の翌年12月31日までに居住する、または居住見込み
- 新居取得年の12月31日時点で償還期間10年以上の住宅ローンがあること
- 要件を満たせば、損失を給与・事業所得等と損益通算し、控除しきれない部分は翌年以後3年間繰越可能
- 合計所得金額3,000万円超の年は、その年の繰越控除はできません(売却年の損益通算自体とは別)。
- 住宅ローン控除との併用も可能です。
- 新築未使用の買換資産で令和10年1月1日以後に入居する場合、災害危険区域等の要件があります(建築確認時の敷地が全て区域外だった場合の例外あり)。
マイホームの譲渡損失:買い換えなし(住宅ローン残債あり)
- 旧居は売却年の1月1日時点で所有期間5年超
- 以前住んでいた家なら、原則として住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
- 売買契約日の前日に、その旧居に係る償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
- 売却額がその住宅ローン残高を下回ること
- 損益通算の限度額は「売買契約日前日のローン残高 − 売却額」と実際の譲渡損失額との関係で計算します。
- 要件を満たせば給与・事業所得等と損益通算し、控除しきれない部分は翌年以後3年間繰越可能
- 合計所得金額3,000万円超の年は、その年の繰越控除はできません。
- 住宅ローン控除との併用も可能です。
マイホームの譲渡損失特例は適用できません
- マイホームの譲渡損失を給与所得・事業所得等と通算する特例は使えません。
- ただし、同じ年に他の土地・建物の譲渡所得がある場合は、その範囲で損失を控除できる場合があります。
短期譲渡所得として計算するルート
- 売却年の1月1日時点で所有期間5年以下なら短期譲渡所得です。
- 基本税率は所得税等30.63%+住民税9%=合計39.63%
- この簡易フローでは自宅向け3,000万円控除等は適用しない前提です。
- 収用、低未利用土地等、その他の個別特例はこのフローの対象外です。
長期譲渡所得として計算するルート
- 売却年の1月1日時点で所有期間5年超なら長期譲渡所得です。
- 基本税率は所得税等15.315%+住民税5%=合計20.315%
- この簡易フローでは自宅向け3,000万円控除等は適用しない前提です。
- 収用、低未利用土地等、事業用資産の買換えなど、その他の特例は個別確認が必要です。
平成21年・22年取得の土地等の1,000万円特別控除
- 平成21年または平成22年に取得した国内の土地・土地の上に存する権利が対象
- 平成21年取得分は平成27年以後、平成22年取得分は平成28年以後の譲渡が対象です。
- 相続・遺贈・贈与・交換などによる取得は対象外です。
- 建物・構築物は対象外ですが、借地権など土地の上に存する権利は対象になり得ます。
- 同じ土地等について他の譲渡所得の特例との重複適用はできません。
被相続人の居住用財産(空き家)の特別控除
- 要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円控除
- 令和6年1月1日以後の譲渡で、対象財産を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上の場合は各人最大2,000万円
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物登記がされていないことなどの要件があります。
- 売却後の耐震改修・解体を翌年2月15日までに行う方法も一定の場合に認められます。
- 同一年に両方の特例を適用できる場合があります。
- その場合、自己居住用と被相続人居住用を合わせた特別控除額には合計3,000万円の上限があります(相続人3人以上の場合は空き家側の2,000万円上限にも注意)。
このフローチャートは「主な特例の候補」を整理するためのものです
- 3,000万円特別控除、軽減税率、譲渡損失の損益通算・繰越控除などは、原則として確定申告が必要です。
- 所得税の確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日までですが、休日等により変動します。
- 売買契約書、取得時資料、仲介手数料・測量費等の領収書、ローン残高証明書などは早めに整理しておくと確認がスムーズです。