改正民法が令和5年4月1日から施行されますが、それに先立ち「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会」は令和4年6月に「所有者不明私道への対応ガイドライン第2版」を公表しました。
併せて、隣地から越境した枝の切り取りもしやすくなる点についても改正されます。
共有私道で補修工事等を行う場合において、現行の民法では共有の規定等の解釈が明確でなく、事実上、共有者全員の同意を得る必要があったため支障が生じております。
【保存】とは、損傷した私道の補修を行う場合や私道の現状を維持する行為は保存にあたります。
【管理】とは、私道の状態をより良好な状態とするような改良工事などをいいます。
【変更】とは、山林の伐採のような物理的変更や農地を宅地にするなどをいいます。
法務省は、「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会」における検討結果を取りまとめたものとして、平成30年1月に第1版、令和4年6月に改訂版を公表しました。
改訂版においては、共有私道の「管理」の範囲のが拡大・明確になります。
改訂版のガイドラインにおいては、共有私道の工事に関する支障事例における具体的な適用関係を示されているほか、改正民法の施行前における対処法も併せて示されております。
また、実務上問題となることが多いと指摘される事例を新たに追加したほか、共有私道の管理に関連する所有者不明土地対策について幅広く紹介されております。
詳細につきましては、下記をご参照ください。
全て読み込んだわけではありませんが、【共有私道】と【持ち合い型の私道】とでは取り扱いが異なるようですので注意が必要です。
【共有私道】とは
下記のように1筆の私道を複数を所有者で共有するものです。
【持ち合い型の私道】とは
私道付近の土地所有者が、数筆に分かれた私道を個別に所有しているものです。
私道に接する土地を購入する際には、購入申し込み前に事前に調査することが大切です。
新築建売住宅の場合は、基本的に売主が私道に関する通行・掘削の承諾書を取得して分譲していることが多いのですが、一般の方が売主での土地売買のケースは測量や私道の承諾書を所得していないことも多くあります。
土地購入後に私道所有者から承諾が取れず車両の通行ができない、上下水道管の引き直しができないなんてことがないよう注意してください。
越境した枝の切り取り
現行の民法では、隣地の竹木の根が越境してきた場合、自らその根を切ることはできますが、枝の越境については、勝手に切ることが出来ませんでした。改正民法においては、竹木の所有者に枝を切除させる必要があるという原則を維持しながら、次のいずれかに該当する場合には、枝を自ら切り取ることが出来るようになります。
①竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、竹木の所有者が相当の期間内(2週間程度といわれています)に切除しないとき。
②竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき。
③急迫の事情があるとき。
なお、枝を切り取る場合の費用については、基本的には竹木の所有者に請求することができると考えられるそうです。
改正民法の施行は令和5年4月施行ですので、早とちりしないよう注意してくださいね。