板橋区の空き家調査結果
総務省統計局が行った平成30年住宅・土地統計調査結果によると、板橋区の住宅総数は336,280戸、そのうち空き家は36,640戸、空き家率は10.9%に達しました。この数字を見て「空き家が1割もあるなら、土地価格も安くなるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、詳しく見ていくと、その見解は必ずしも正しいとは言えません。
空き家36,640 戸のうち、「その他住宅」とされる一戸建ての空き家は2,020戸(約5%)であり、賃貸用の空き家、つまり「空室」は27,920戸(約76%)に達しています。これから、板橋区での空き家の大部分が賃貸用の空室であることがわかります。
板橋区は、「戸建て空き家」や「空室」の利活用状況を把握するために、令和元年度(平成31年度)に「空き家利活用実態調査」を実施しました。 この「空き家利活用実態調査」で2,020戸について精査したところ、居住していないと判定できる空き家は1,123戸でした。その中で所有者連絡先が判明したものが502戸、所有者に空き家利活用の意向があったのは252戸で、土地や建物の状況等の視点から条件が良く、利活用の可能性の高いと思われる空き家は25戸でした。
残りについては、「所有者情報不明」や「所有者の利活用意向の有無がわからない」「空き家(土地を含む)条件が悪く利活用が難しいもの」等の様々な問題(課題)を抱え、現状のままでは利活用に移行できない空き家が多いことがわかりました。
利活用が難しい空き家は、これから家を買う、建てる方にとって、魅力的な立地ではないため、空き家率が10.9%だからといって、土地が安く買えるようにはならないことが分かります。
「令和2年版板橋区の統計の土木・建築・住宅に関するデータ」によると、毎年3千戸ほどの賃貸住宅が新設されています。
※出典:東京都都市整備局市街地建築部「建築統計年報」 ※出典:東京都都市整備局市街地建築部「建築統計年報」
滅失建物は200戸ほどありますが、27,920戸もの空室がある中で、毎年3千戸も賃貸住宅が新築されています。新築、築浅の賃貸住宅は募集を行っても容易に借り手が現れるでしょうが、築年数が経過するほど空室率は高くなる傾向にあります。更にテレワークの普及によって、居心地が悪く、光熱費の高いアパートは、入居してもすぐに退去してしまうケースも多いのではないでしょうか。
賃貸物件は、目先の収益だけを見て建てますので、安かろう悪かろうになってしまいがちですが、これでは入居者の居心地が悪く長く住んでくれません。
賃貸物件の改善策
新築や築浅の賃貸住宅は比較的容易に借り手が見つかりますが、築年数の経過した物件では断熱性能が低く、光熱費がかさむため入居者が敬遠する傾向があります。国土交通省は、住宅情報サイトにおいて省エネ性能を反映した「光熱費換算値」表示の導入を検討しており、今後はこれが入居者の選定基準に大きく影響する可能性があります。特に築年数の経過した木造アパートの断熱性能はほぼないに等しいと考えますので、燃費の悪い物件は、益々入居者が入らないことが予想されます。空室でお困りなら、耐震性や断熱性能を向上させ、安全で居心地がよく、光熱費も少なくてすむ家にすれば、入居者も集まりやすく、かつ長く住んでくれるのではないでしょうか。
もし空室でお困りの場合は、耐震性や断熱性能を向上させ、居心地の良い省エネ住宅に改装することを検討されてはいかがでしょうか。こうした改善により、入居者も長期間安心して住める住宅として選ばれることでしょう。
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