年末近くなり住まい探しは一時中断という方もおられるかもしれませんが、この時期は太陽高度も下がり冬の時期にこそ欲しい陽当たりの確認や、家の性能を確認するには一番良い季節だと思います。
売主、事業者にもよるのでしょうが、完成前の物件については外壁材、キッチン、ユニットバスなどの内外装材についての特徴や色味の分かるプレゼンシートを作成してます。
しかしながら、家造りにとって本当に大切なところは、完成すると見えなくなってしまう構造材、耐久性に係わる部材や断熱材などになりますが、殆どの分譲会社においてはその部分についてアピールしておりません。
アピールしていないというより、エンドユーザーも耐久性や性能には興味がないから、分譲会社もそこにはお金を掛ける必要もない為、アピールできるポイントがないということもありそうです。
今回は外壁下地に張る透湿防水シートについてお伝えしようと思います。
雨漏りさせないための防水処理
建物の外壁材は紫外線、雨風や気温の変化など、過酷な条件下にさらされており、外壁材表面には耐候性のある塗装、つなぎ目にはシーリング材が施されております。
建物の外から見える外壁や屋根材のことを一次防水、壁や屋根材の下地側に設ける防水シートなどのことを二次防水といいます。
台風などの強風時や、経年劣化などにより外壁や屋根材などの一次防水側で雨を防ぐことができなかったとしても、壁下地側の二次防水(防水シート)でも雨の浸入を防ぐよう2段構えの対策を行っている住宅が多いです。
外壁材の中で最も使用されているサイディングは、表面の塗装やつなぎ目にあるシーリングが10年前後で劣化しますので定期的にメンテナンスが必要になりますが、万一、シーリング材のヒビ割れなどから雨水が入ったとしても二次防水側で壁内部への雨水の浸入を防いでくれます。
※二次防水があるからといって、外壁材のメンテナンスを行わなくていいということではありません。
前置きが長くなりましたが、ここからが今回の本題になります。
二次防水である透湿防水シートにも10年相当、30年相当、50年相当の3種類の耐久試験(JIS A6111:2016)をクリアした商品があります。
JIS適合品であれば安心できそうですが、30年相当の適合品でも築10数年で劣化が認められた住宅があり、劣化の原因は判明していないそうです。
その他、早期劣化する要因として、防水シート施工後、外壁材を一定期間内に貼らなかったためにシートが紫外線で劣化、防腐・防蟻処理された通気用の胴縁が水に濡れて、防蟻処理剤に含まれる界面活性成分が溶け出し防水シートの性能が低下したことが上げられるそうです。
透湿防水シート主要メーカーのサイトを見ると、防水シート施工後は60日以内(耐紫外線性能)に外壁材施工を完了させること、防腐・防蟻処理した通気胴縁は使用しないでくださいと記載されています。
これまでスーパー工務店が手掛ける家を複数見学する機会がありましたが、もれなく海外製のものを採用しておりました。
神奈川県横浜市の工務店
埼玉県東松山市の工務店
東京都の工務店
国内メーカーの防水シートは、不織布とフィルムを重ねた2層構造が多いのですが、上記のウルト社の製品は単一素材を複数層にした不織布でできていて、厚みも国内メーカーのものと比べて3倍近くあります。
また、防腐・防蟻処理への耐性や耐紫外線性能も12週間と長いことが特徴です。
国内メーカーとウルト社の価格差
国内主要メーカーの透湿防水シートとウルト社のウートップハイムシールドの価格を検索してみると4倍ほどの差がありました。
国内メーカー30年相当:1m×50m:4,490円
ウルト ウートップハイムシールド:1m×50m 18,150円
※ネットで検索したものですので、定価、卸値ではありません。
4倍と聞くと高そうですが、仮に外壁面積300㎡の住宅で計算してみると、総額8万円ほどの差ですので、この差を高いと思うか安いと思うかはお客様次第でしょうか。
※重ねシロ分などは見ておりません。
透湿防水シートを張替えるには外壁全てを撤去しなければなりませんので、長期目線で考えると高耐久のものを使った方が結果的には安くなりそうですね、
毎度お伝えしていることですが、目に見えるキッチン、バスなどのグレードが高い家も憧れますが、目に見えない耐震性、断熱性、耐久性の高い家の方がいいなと思っていただけましたでしょうか。
ご意見やご感想など伺えましたら幸いです。