子どもをのびのびと育てたい――そんなとき真っ先に思い浮かぶのは「一戸建て」かもしれません。でも、子育て世帯にとってマンションの1階住戸には、魅力的なポイントがたくさんあるのをご存じでしょうか。
1階は防犯面が心配という方もおられるかもしれませんが、セキュリティーがしっかりしているマンションであれば、一戸建てよりも安心です。また、あまり耐震、断熱や気密性能が高くない一戸建てよりもむしろ快適に暮らせる場合もあります。さらに、1階ならではの開放感ある専用庭やテラスが付いた物件も多く、子どもがわんぱくに走り回っても階下へ気兼ねが少なくてすむのも大きな魅力です。
今回は、そんなマンション1階での暮らしを検討するうえで押さえておきたい「デメリットとその対処法」、そして「1階だからこそ得られるメリット」を詳しく解説します。子どもの足音や将来のバリアフリーを気にされる方はもちろん、いざという時に心強い防災面も含め、一戸建てだけが選択肢ではないという視点を持って、ぜひ参考にしてみてください。
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1階でも日当たり良好な住戸はある!日当たりシミュレーションが大事
「1階だと日当たりが悪そう……」というイメージを持っている方は多いかもしれません。たしかに周辺の建物の影響を受けやすい分、日当たりが確保しにくいケースはあります。しかし、南側が道路や公園、駐車場になっている場合は、1階でも日当たりが良い物件も存在します。
写真の住戸は、南側道路の向かいに9階建てのマンションが建っておりますので、朝から晩まで日当たり良好とまではいきませんが、1月・2月のもっとも寒くなる時期に14時前くらいまでは日が入りますので、十分快適に過ごせそうです。
冬場の日当たりがしっかり入るか、実際に現地で時間帯を変えて日当たりをシミュレーションすることがおススメです。
日射量を計算してみると
1月13日の10時に、このマンションの窓から入る日射量を「NEDO日射量データベース」で調べたところ、2.53MJ/㎡(703W/㎡)という結果が得られました。
窓ガラスに当たる太陽光の面積を約2.5㎡(幅2.5m×高さ1m)と仮定し、単板ガラスの日射熱取得率0.88を掛けて計算すると、室内に入る日射熱量は約1500Wとなります。
これは電気ストーブ約2台分の熱量に相当します。
この結果からもわかるように、南向きの窓からの日射は冬場の室内暖房に大きな影響を与えることがわかります。ただし、単板ガラスの場合、熱が室内から外へ逃げやすいため、断熱性能の高い内窓やハニカムシェードを設置することで、暖房効率をさらに向上させることができます。
「通行人からの視線が気になる」は本当?植栽などでカバーされている場合も
1階住戸で気になるのが「通行人から室内が丸見えにならないか」という視線問題です。しかし、多くのマンションはプライバシー対策として、道路面からやや高い位置に1階部分を設ける・植栽やフェンスを設置するなど工夫を凝らしています。実際に足を運んでみると、視線の抜け方は物件によってかなり差があります。
写真の住戸は2mほどの高さまで植栽が植わっており、通行人とは目線が合うことはありません。
向かいのマンションからの視線が気になる方は、ハニカムシェードがおススメです。日中は光を取り入れつつ、外からの視線を遮ることが可能。ハニカムシェードは断熱効果も高まるため、快適な室温を保ちやすいメリットもあります。
マンション1階でも、開放的に生活できる物件を探しましょう。
気になるデメリットは?
1階に住む際の代表的な懸念点をまとめました。上手に対策すれば気になりにくいこともありますよ。
● 防犯面
オートロックや防犯カメラなどセキュリティーがしっかりされているマンションであれば、一戸建てより安心です。
●周囲の視線
植栽などで視線が遮られているか現地で確認するといいでしょう。
●眺望や日当たり
眺望を望むことはできませんが、専用庭のある住戸であれば都心部でもガーデニングが楽しめ、自分好みの庭造りを楽しめます。また、日当たりシミュレーションで採光の確認を行いましょう。
●結露やカビ
マンションは気密性が高いため、窓などに結露が生じやすくなります。また、1枚ガラスのアルミサッシが設置されているケースが多いです。内窓の設置やこまめな換気を行うことで、カビの発生を抑えやすくなります。
●虫の侵入・ 騒音・地震や浸水被害
一戸建ても同様のリスクがありますので、周辺の環境はしっかり確認しておく必要があります。
1階ならではの大きなメリット
● 階下への音トラブルを気にしなくていい
特に小さなお子さんのいるご家庭にとっては「足音・生活音で階下に迷惑をかけるかも…」という心配が軽減されます。マンション上階だとバルコニーからの転落リスクもあるので、1階は安心感が大きいですね。
ただし、隣や斜め上にも音が響くケースはあるため、まったく気にしなくてよいわけではありません。
● 専用庭や駐車場で“戸建て感覚”を味わえる
マンションの1階には専用庭やテラス、場合によっては専用駐車場がついている住戸もあり、ガーデニングや子どものプール遊びなど、都心部の一戸建てでは味わえない楽しみ方ができます。
● バリアフリーで暮らしやすい
エレベーターを使わずにエントランスやゴミ置き場へ行けるのは、高齢者やベビーカー利用者には大きなメリット。エレベーター待ちのストレスもありません。
まとめ
マンションの1階でも、南向きや前面が抜けている立地であれば、明るい日当たりを確保でき、視線の問題も植栽やロールスクリーンを上手に活用することで解決可能です。
さらに、1階ならではの大きな魅力として、階下に音を気にせず元気に暮らせる点、専用庭やテラスで戸建て感覚の生活が楽しめる点、そしてバリアフリーの利便性が挙げられます。子どもを自由に育てる環境を提供するために、一戸建てだけにこだわらず、マンション1階という選択肢も充分に魅力的です。防犯、断熱、バリアフリーなどの面で、予想以上に快適な暮らしが実現できる物件も多いので、ぜひ掘り下げて検討してみてください。
「子どもが走り回るから一戸建てがいい」と思っている方にも、マンションの1階には意外なほど多くのメリットがあるかもしれません。ぜひ選択肢の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
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