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最近、解体工事の現場で外国人の職人さんを見かけることが増えてきました。日本人の担い手不足と、「とにかく安く済ませたい」という発注者側の思惑があります。
発注者が価格だけを重視すると、実際に工事を行うのは人件費を抑えた下請け・孫請け業者になりがちです。
そして今回のニュースは、まさにその問題が表面化した事例といえます。
足立区での産廃不法投棄
2024年11月、東京都足立区の解体現場において、約420キロの産業廃棄物を地中に埋めたとして、
解体業者が産業廃棄物処理法違反容疑で逮捕されました。
警視庁によると、現場ではショベルカーで深さ1.5メートルの穴を掘り、廃プラスチックやガラスくずなどを埋設していたとのこと。
本人らは容疑を否認していますが、無許可で廃棄物を委託・請け負った関連業者2社が書類送検されています。
なぜこうした事件が起きるのか?
東京商工リサーチの調査によると、2025年1〜7月の解体工事業の倒産件数は過去最多ペースで進行しており、前年同期比で約12.5%増の36件。特に東京都では前年比350%増と、都市部での淘汰が加速しています。
原因の多くは「価格競争の激化」。
安全管理やコンプライアンスにコストをかけるまじめな業者ほど、“格安”をうたう業者との価格差に耐えられず撤退しています。
その結果、
・安さを優先する発注者
・受注を取るために利益を削る元請け
・人件費を抑えるしかない下請け
という負の連鎖が生まれています。
「悪貨が良貨を駆逐する」
「悪貨が良貨を駆逐する」とは、質の悪いものが市場を支配し、良いものが消えてしまう現象のこと。
まじめに分別・処理を行っている優良業者がコスト面で不利になり、不正や手抜きをする業者が仕事を取っていく。
まさに今、建設・解体業界で起きているのはこの現象です。
現場では“古いガラ”が出てくることも
今でも解体を行っていると、さらに古い時代の家屋の基礎やガラが地中から出てくることも少なくありません。
過去の工事でも、不十分な処理や埋設が行われていた可能性があり、これは長年にわたる業界全体の問題かもしれません。
家づくりも同様です。
“価格だけで選ぶ”と、完成後に見えなくなる部分で手間を省く施工が行われる可能性があります。
▼併せて読んでほしい記事▼
品質を徹底している会社には、それ相応のコストがかかります。それを「高い」と切り捨ててしまえば、優良業者が市場から消え、悪質業者だけが残るという状況を招いてしまいます。
土地探しをしている方へ
古家つきの土地を購入し、自分で解体工事を発注する場合には注意が必要です。地中から予期せぬガラ(瓦礫)や基礎の残骸が出てくる可能性があります。
売主が宅建業者の場合は、契約不適合責任を問える可能性が高いですが、一般個人が売主で免責特約が付いている場合は、ガラ撤去費用を買主が自己負担しなければならないこともあります。
購入金額が多少高くなっても、更地渡し・地中障害物の撤去を売主負担とする契約条件をつけておくことをおすすめします。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
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