2022年2月6日投稿
危ない路地状敷地
弊社で新築一戸建てをお探しのお客様には、オススメできない「こんな建売住宅」をシリーズでご紹介します。
第二弾は「危ない路地状敷地」物件になります。
「路地状敷地」とは、旗竿状の形をした敷地や不整形な形をしていて、道路から敷地が見渡せないような敷地をいいます。路地状敷地が全てダメということではありませんので、誤解のないよう最後までお読みください。
建築基準法43条第1項によると、建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならないと規定されています。
今回の事例はお客様が実際にご購入を検討されていた物件で、弊社が購入を見送られた方が良いですよとアドバイスさせて頂いたケースを3つご紹介させて頂きます。
ケース1
隣地Aと売買対象地の2棟の家が建つ分譲地でした。
前面道路は公道、道路部分とは2.5m接しており車を止めることがスペースがあり、駐車スペース先からは幅2mの通路があるので、一見問題のない物件と思っていました。
お客様も物件をお気に召されたので、物件資料を取り寄せると、隣地Bとの境界が確定しておらず、当初は通路の幅を2.15m確保して売買対象地は残地として分割する予定であったのが、隣地Aの敷地が狭くなるという理由で幅2mの通路幅で分割、販売しているということでした。 ※この分割方法は特殊な方法で、今回の主旨とは異なりますので読み流してください。
何が問題なのかというと、将来ご売却や建て替えなどを行う際に隣地Bとの境界を確定しなければならない場合、通路部分が2m確保出来ていないと再建築不可になってしまうからです。
当初のように通路幅が2.15mあれば、万一境界が少しズレたとしても通路幅は2m確保できると思われますが、通路幅2mピッタリで分割してしまうと、少しズレただけで2mの確保が出来ません。
今回は建築確認の許可もおりましたが、将来のリスクを考えるとオススメできない物件でしたので、お客様へ理由を説明し購入をやめて頂きました。
ケース2
売買対象地は1棟現場で、建築確認も取得し既に工事を行っている新築一戸建ての物件です。
売主提供の販売チラシを見ても問題のない物件のように売りに出されていましたが、詳細資料を請求すると、とてもお客様へはオススメできる物件ではないことが分かりました。
売買対象地はA~Dの4者が所有する通路(建築基準法の道路ではない)を介して公道へ接していたのですが、物件の建築確認では、4者で所有する通路の一部(赤い部分)を売買対象地Bの敷地として申請していることが分かりました。
建築確認の審査を行う行政や審査機関は、敷地の所有権までは確認する必要がなく、申請者が「敷地」として申請を行えば、書類だけの審査をもって許可が下りてしまいます。
将来、C地の所有者が建て替えを行う際に、B地が勝手に通路部分を敷地として建築確認を申請したことが判明したら揉める事必至ですので、こちらもお客様へ理由を説明し購入をやめて頂きました。
ケース3
上記で書いた、「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」の細かい解釈を説明します。
この物件は道路に2m以上接しているという解釈になりそうですが、実際にはこの土地では建築確認の許可が下りません。
路地状敷地や上記のような道路の突き当りにあるような敷地の場合、直径2mの球が道路から敷地内に通ることが出来なければなりません。
上記の敷地は、敷地上側が道路と並行ではなく鋭角に折れた形状になっているため、2mの球が通ることが出来ません。
このような土地形状の物件は意外に多く、普通に建築確認を取得し建築が出来ている物件もありますが、将来、必ず建て替えができるかというと疑問です。
今回はたまたま誰も気づかなかっただけで、次回は行政や審査機関の担当者が2m接していないと気付いてしまうと建て替えは出来ません。
こちらの物件は、契約日まで決まっておりましたが、私が直線に建築CADソフトで確認し気づきましたので、売主とお客様へ説明し、契約は延期、売主にて隣地の土地一部を買収するなど2mの球が通れるようになってから契約という流れになりました。
上記3つのケース、弊社以外の不動産会社であれば何事もなかったように取引されている可能性もあります。実際に成約し、どこかの不動産会社から買われた方が居住しています。
富士屋不動産では、土地、建物に対してのリスクもありのままご説明しております。