販売チラシや建築図面に「外壁通気構法」と記載されていても、必ずしも安心できません。なぜなら、入口はあっても出口がないケースが多いのです。
寄棟の場合、外壁4面ともに外壁の通気層と屋根の通気層がつながっていることが多いのですが、切妻屋根や片流れ屋根では、桁側(下のイラストの側面側)は通気層があるものの、妻側(イラストの正面側)は出口が設けられていないケースが多くあります。
寄棟屋根の場合、軒先に専用部材を使用して通気孔が設けられていることが多く、入口と出口が確保されているケースが多いです。ただし、複雑な平面の場合、換気量が不足していることもあるので注意が必要です。
要注意!切妻屋根や片流れ屋根の妻側
切妻屋根や片流れ屋根では、妻側の通気層の入口はあっても出口が塞がれていることが多く、結露やカビが発生するリスクが高まります。 上記2件のような外観の家は”屋根断熱”になっていることが多く、通気が確保されていないケースが多くあります。特に寄棟(イラストの左側)で屋根断熱の場合、通気層の確保が難しく、家の寿命に影響を及ぼす可能性が高いので、長持ちする家を買いたいのであれば、選ばない方が無難です。
通気層がない家で結露してしまった事例です。
寄棟の屋根断熱は通気だけではなく、断熱欠損も生じている可能性が高くなります。
断熱材が入れやすいSp2の温度は16℃、隅木廻りのSp1は20.1℃、Sp3は22.3℃と表面温度に6℃~8℃の差がありますので、ほぼ間違いなく断熱欠損が生じていると思われます。
屋根断熱の場合でも、屋根下地と断熱材との間に通気層を設けたり、専用部材を使用することで、しっかりとした通気層を確保することが可能です。
こちらの家は板状の断熱材を使用しており、屋根下地と断熱材との間に3cmの通気層を設けています。
上記2枚の写真は、断熱材で通気層が潰れないように使用する専用部材です。
小屋裏換気や通気層は、建築基準法で義務付けられているものではありません。また、フラット35の技術基準でも、小屋裏換気の定めはありますが、3階建てなどの準耐火建築物においては義務ではありません。
しかし、家の寿命や耐久性を考える上で、小屋裏換気や通気層の確保は非常に重要だと考えます。
長持ちする家を手に入れるためにも、外壁や屋根の通気をしっかりと確認することをお勧めします。
最後に、大手ハウスメーカーの建売だから安心とか大丈夫とかはありません。大手ハウスメーカーの家でも通気が取れていない家もありますので、ご注意ください!