2021年10月 1日投稿
⑭ホントに怖い!!壁の中の結露について①
第十四回目は「壁内結露」について解説します。「結露 画像」で検索すると、窓ガラスばかりが出てきますので、皆様も結露と言ったら窓というイメージが多いと思います。家を買うとき、不動産会社の営業スタッフに「最近はペアガラスでLow-Eガラスを採用しているから、結露しませんよ~」と言われたことありませんか?でも、Low-Eペアガラスだからといって結露しないと断言なんてできないんです。
さらに、壁の中でも結露が発生することがあるのご存じですか!?
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ホントに怖い!!壁の中の結露
冬の寒い朝、窓周辺が結露している場合、水分を拭き取れば大きな問題にはなりませんが、本当に怖いのは、壁の中でも結露が生じている可能性があることです。
ちらはマンションの写真ですが、壁がカビだらけになっていますね。これも壁の中(壁内結露)や壁表面の結露(表面結露)が原因です。このマンションは断熱材が未施工の可能性が高いのですが、木造住宅でも先程紹介した防湿シート(袋入りグラスウール)の施工が丁寧にされておらず、また、地震対策用に使うことが多くなった、外壁材の裏側に地震対策用の壁パネル(構造用面材)を張ることにより、壁内結露のリスクが高くなりました。
壁内結露の仕組み
日々の暮らしの中で、炊事、洗濯や家事などにより水蒸気が発生します。室内で発生した湿気は、小さな隙間から壁の内部に侵入し、外壁側の冷たい空気で冷やされた構造用面材と壁内部にある断熱材との境で結露を引き起こすことがあります。
昔の家は、外壁材の裏側に構造用面材を張ることがなかったため、室内からの湿気が外部に排出されておりましたが、現在では一般的になった外周部に構造用面材を張ることにより、湿気が外部に排出されにくくなり、壁の中で結露する可能性があります。
壁の中で継続して結露が生じていると、カビが繁殖し腐朽菌が発生して、構造材が腐朽してしまいます。
壁内結露を防ぐには?
1⃣防湿シートをしっかり施工する
2⃣湿気を通しやすい構造用面材を採用する
3⃣外壁通気構法を採用する
などが上げられます。
一般的な建売住宅で使用されている袋入りグラスウールは袋の表面が防湿シートですので、下の写真のように断熱材が剥き出しになっていると、防湿の効果は期待できません。
シートでしっかり壁を覆った施工です。この上に石膏ボードを貼ることによって、気密性も上がります。
続いて、湿気の通しやすい構造用面材を使用することによって、壁内に入った湿気を外部に排出しやすくなります。
多くの建売住宅で採用されている構造用面材TOP3と透湿抵抗
1.構造用合板・・・0.011㎡・s・Pa/ng
2.ノボパン・・・0.0035㎡・s・Pa/ng
3.ダイライト・・・0.0011㎡・s・Pa/ng
※透湿抵抗値は低いほど、湿気を通すということです。
この中で、最も採用されているであろう「ノボパン」と一番湿気を通す「ダイライト」では約3倍の差、「構造用合板」と「ダイライト」では約10倍の差がありますので、工事中に見学される際には、どの面材を使用しているか確認してみてください。透湿抵抗の低い面材を使った方が、室内の湿気を外へ多く排出しますので、壁内結露のリスクは少なくなります。
透湿抵抗値は高いほど湿気を通さないので、透湿抵抗値の低い面材がオススメですが、価格も比例して高くなります。
「ノボパン」は「構造用合板」の約2倍の値段、「ダイライト」は「構造用合板」の約3倍の値段ですので、コストパフォーマンスでは「ノボパン」が優れていて、建売住宅で多く使用されている理由が分かりますね。
毎回お伝えしていることですが、気になる物件は施工途中も見学しておきたいですね。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
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