2022年7月25日投稿
2024年5月28日更新
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7月の上旬に断熱材メーカーであるマグ・イゾベール社主催の「夏型結露対策オンラインセミナー」を受講し、一般的な建売住宅の仕様である場合、夏型結露が発生するのかシミュレーションして頂けましたので、その結果をお伝えしようと思います。
セミナー講師は、名古屋市で設計事務所を営んでいるJIN建築工房一級建築士事務所の小森先生になります。
「結露」というと、一般的には冬に発生するものと思われますが、近年では壁の中にカビや腐朽を生じさせる夏型結露のトラブルが顕在化しているそうです。
写真は暑くて湿った外側の空気が、店内側の冷房によって冷やされたガラスに触れて結露している様子です。
下記のイラストは壁内結露のイメージですが、夏型結露は冬型とは逆で、合板などの建材が含んでいた水分が、日射による外壁や屋根の温度上昇によって壁内で気化し、冷房で室温が低くくなっている室内側で冷されて、壁の内部で結露する現象です。
セミナー申し込み時に壁構成を伝えると結露計算のシミュレーションを行っていただけるとのことで、場所は板橋区、壁構成は一般的な建売住宅で使われている、室内側からビニールクロス・石膏ボード・袋入りグラスウール・ノボパン・通気層・サイディングという仕様で依頼しました。
シミュレーション結果は、外気温:32℃、湿度:73%、室内温度:25℃、湿度:50%の場合、袋入りグラスウールの防湿シート部分で結露するという判定でした。
※外気温32℃、湿度73%が続く状況は少ないかと思いますので、夏型結露については、そこまで気にする必要はないかと思います。
断熱材メーカーであるマグ・イゾベール社が主催されているので、これから新築する方は「冬は防湿」、「夏は透湿」する可変型のシートをお勧めされていましたが、小森先生より既にお住まいの方は、壁の隅に設置したエアコンの向きをお部屋の中央に向けて、できるだけ壁を冷やさないことをオススメされていましたので、夏型結露が心配な方はすぐに対策してみてはいかがでしょうか。
その他、日経ホームビルダー「顕在化する夏型結露トラブル」によると
~以下引用
「木造建築で繊維系断熱材を採用する際に、冬型結露対策として設置する防湿シートは、温暖地では夏型結露を招く原因になる」。結露問題に詳しい土屋喬雄・東洋大学名誉教授ら複数の研究者が、1980年代後半から指摘していた問題だ。
だが一方で土屋名誉教授らは当時、健全な建物仕様を前提にしたシミュレーションなどを通じて「過度に懸念する必要はない」と結論付けた。この考え方が今日の通説だ。
他方、近年では夏型結露で木造住宅の壁内にカビの繁殖や木材の腐朽が生じるトラブル例が、各地で見つかっている。多くは、建築中の雨掛かりや完成後の雨水浸入などで、壁内の合板が一定以上の水を含んでいたことが原因とみられる。通説の根拠になったかつての研究で想定していなかった原因によるトラブルだ。
~引用終わり
以上のように報じており、工事中に木材が濡れないよう対策が必要のようです。
「工事中の物件なんて見ても仕方ないでしょ」とは思わずに、気になる住宅があれば、工事期間中に下見しておくことは重要です。
●「夏型結露」についての最新記事を更新しています。
富士屋不動産においては、工事中の物件の場合、構造説明、防水説明を行っておりますので、不動産サイトなどに掲載されている物件で気になるものがあれば、構造などのご説明をさせて頂いておりますのでお気軽にお申し付けください。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
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