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気密性の高いマンションでは、換気扇を廻していると玄関ドアが開かない、重いという経験をされた方が多いと思います。
一戸建てでも気密が高ければマンションと同様に玄関ドアが重くなるのですが、建売住宅にお住まいの方で玄関ドアが重い、開かないということを経験された方は非常に少ないのではないでしょうか。
建売住宅を買う、家を建てるにあたって建物の気密性を高めること、防湿シートや気流止めの施工は、冬に暖かく過ごせる、夏は涼しく過ごせるという快適さや、新鮮な空気を家の中に入れ、汚れた空気を計画的に排出する換気性能、その他にも建物の耐久性を高める上でとても重要なものになります。
今年の4月に断熱等性能等級5が10月には等級6、7が新設され、分譲メーカーの一部においても等級5が標準仕様になった物件も見かけるようになりましたが、机上の断熱性能だけ上がっても気密、防湿、気流止めがキチンと施工されていないと、壁の中(断熱材)の空気が動いてしまい、本来の断熱性能が発揮されないだけではなく、壁内結露が生じることにより耐久性が下がってしまうこともあります。
先日、高断熱高気密住宅を手掛ける工務店さんの気密測定を見学できましたので、今回は気密性能について学んだことを書きたいと思います。
気密測定とはバズーカのような機械を使って、「家にどれだけのすき間が存在するか」を測るもので、測定した数値をC値(シーチ:相当隙間面積)といいます。
C値は、建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った値で、数値が小さいほど家のすき間が少なく、気密性が高いということになり、一般的にC値が1.0以下だと高気密と言われています。
例えば、延床面積100m2ある住宅のC値が1.0の場合、家中のすき間を足すと100cm2(10cm×10cm)あるということになります。
分譲マンションのC値は0.5前後(超高気密)といわれている為、換気扇を廻していると玄関ドアが開かない、重くなる現象が発生します。
今回見学させていただいた家のC値は0.2と超高気密な家で、室内を負圧(換気扇を廻したような状況)にした状態で玄関ドアを開けるととても重く、開けた時にシュワッという音がしました。
こちらの家ではありませんが、気密性の高い家で玄関ドアを開けた時の様子を動画撮影しております。
気密の低い家で換気扇を廻していても、すき間から室内へ空気が流入してくるので玄関ドアが重くなる、開かない、シュワッ感はありません。
気密性の低い家はどうなるの?
気密性の低い家=すき間の多い家は、床、壁、天井などにあるすき間から冷気が進入してくるので、暖房を入れてもお部屋が暖まりにくく、計画的な換気も行えなくなります。
では、そのすき間はどこにあるかというと、床と壁との接合部、配線・配管廻り、コンセント・スイッチボックス廻り、天井と壁との接合部などにあります。
※模型:日本住環境株式会社にて撮影
上の写真は壁内部の実寸大の模型ですが、左側は気密処理を行っていない施工方法、右側が気密処理を行った施工方法になります。
模型右側は配管、コンセントボックス部分に気密処理を施しております。
この模型を使って、壁裏側から冷気を当てた時の実験動画あります。
※動画:日本住環境株式会社
気密、防湿処理をしっかり施工していないと壁の中や部屋内に冷気が入ってくるだけではなく、部屋側の暖かい空気に触れて壁内で結露するリスクも高くなります。
よくある建売住宅にある、すき間風を動画に纏めました。
ご覧のように気密性の低い家は、洗濯パン、洗面台の給排水管、コンセントや点検口などのすき間から空気が室内へと流入してきます。
洗面台下にある給水、給湯、下水道管廻りの穴を塞がっていません。 洗濯パン下の排水管ですが、気密どころか断熱材も入っていないため、床下の冷気が洗濯パンを通してガンガン入ってきてしまいますね。
気密性が低いと、24時間換気用の給気口から流入してくる新鮮な空気と同量程度若しくはそれ以上に汚染空気が室内に入ってくることもありえます。
また、計画的な換気ができないばかりか、外から余分な冷気が入ってくるので、それだけ光熱費も掛かってしまいますし、暖房を入れても快適な温度にならないということになります。
気密性を上げる為には、1棟1棟、職人さんが丁寧に施工しなければなりませんので、施工費用も上がってしまうかもしれません。
昨今、建築費高騰により家を建てることのハードルが上がっておりますが、30年、40年もの長い間の光熱費、快適性や耐久性を考えると、気密性能を上げる為の費用は決して高いものではないのかなと思った次第です。
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