※イラスト:リクシル
対策として最も多かった「フローリングの上ではスリッパを履くようにしている」、5位の「靴下の重ね履き」と、足元を暖めようとするのは床が冷たく素足で歩くにはシンドイからでしょう。
最近の一戸建てやマンションに使用されているフローリング材は、シートフローリングという表面に木目が印刷されたシートが張ってあるもので、シートは本物の木より熱伝導率が高く足裏から熱が奪われてしまうため床が冷たく感じてしまう原因になります。
我が家もシートフローリングですので、熱がどのくらい床に伝わっているのかサーモカメラを使って確認してみました。
左足はシートフローリング、右足はカーペットの上にそれぞれ約2分間乗せた後、床にどれだけ熱が移ったのかを計測しています。
下の写真にある上部分がシートフローリング、下部分がカーペットで、足を乗せていない部分の⓷シートフローリングと④カーペットの表面温度はともに20.4℃ですが、足を乗せていた部分の①シートフローリングの表面温度24.4℃、②のカーペットの表面温度は22.9℃と約1.5℃の差がありました。
フローリングの方が1.5℃分だけ余計に熱を奪われているので、カーペットと比べて床が冷たく感じます。
アンケートの結果同様、スリッパを履く、靴下の重ね履きという対策は正しいのですが、大人はともかく、小さいお子様や赤ちゃんにとって床が冷たいというのは大人が感じる以上に辛い状況になります。
断熱性能の低い家は床の表面温度だけではなく、冷たい空気も床付近に降りてきますので、子供は大人よりも冷たい空気を吸っている環境になります。
冷たい空気を吸うと呼吸器も冷えやすく、感染症などの原因になるといわれています。
小さいお子様のいるご家庭においては、すぐにでも家の寒さ対策を行ってほしいところですが、リクシルのアンケートによると家が寒いと感じていても断熱リフォームを検討している方は非常に少ないようです。
家が「寒いと感じる」、「一部の部屋では寒く感じる」方が約80%いる中で、「断熱リフォームをしたことがない、検討したこともない」方が約79%と多くの方が断熱改修に興味がなさそうな印象です。
本格的な断熱改修は難しくても、DIYでできることもありますので、少しでも室内の環境を良くしたい、温かい部屋で過ごしたいと思われた方は、下記のブログも併せてお読みください。
建売住宅やマンションの場合、クレームになりやすいので採用されている物件はないのですが、注文住宅で建てる方は、熱伝導率の低い無垢フローリングがオススメです。
私が次に家を建てる(会社として分譲するものも含めて)機会があれば、床暖房などは設置せず無垢フローリングを採用してみたいと思うところです。
お部屋を暖めるには床材より、家の気密性を上げることが重要ですが、高気密高断熱の建売住宅、興味ある方いますかね?
いいもの建てても、掛かったコスト以上に高く売れないと意味がないので、不動産会社もいいもの建てようというモチベーションは働かないんですよね。
上記のアンケート結果を見て思ったことは、暖かい家に住みたいと考えている方は、建売住宅ではなく高気密高断熱な家を建ててくれる工務店、ハウスメーカーを探しますが、性能に関心のない方は建売住宅を買ってスリッパや靴下を重ね履き、暖房器具を2台つかいして寒さを凌ぐといった感じでしょうか。
一応、3年後には全ての新築建物において断熱等級4が義務化、フラット35については来年4月以降から等級4への適合が必須になりますので、遅くても来年4月以降からは等級4程度の省エネ性能は満たされそうです。
今年の3月までは最高等級であった等級4ですが、3年後には義務化されちゃうレベルであって暖かい家にはなりませんので今からお伝えしておきます。
これから電気代は益々高騰します。
住んでからランニングコスト(電気代など)やメンテナンス代が余計に掛かる家より、初期コストは掛かるけどランニングコストやメンテナンスコストが安くなる家を買う、建てた方が生涯コスト(ライフサイクルコスト)は安くなると考えます。
これは低予算の方ほど言えることで、どうにかローンは組めたけど、今までの家より広くなったことで光熱費が掛かる(お子様に個室を与えるようになるともっと掛かります)、10年、20年後のメンテナンス費用の工面ができないなんて可能性もありえると思いませんか。
何度もお伝えしておりますが、家を買うことはゴールではなくスタートですので、10年、20年、30年先まで考えた家探しをしてみてはいかがでしょうか。