現在の建売住宅の半数以上は、平成11年に定められた省エネ基準(断熱等性能等級4)未満の断熱性能だと思われます。
20年以上前の基準すら達していない為、寒くて当たり前ということになります。
更に気密性能についての規定はありませんので、建物からすき間風が入り、室内を冷やすということもあるんですよ。
私も11年前に板橋区内の新築一戸建てを購入し10年間住んでおりましたが、外壁側のコンセントプレートから冷気が入るのが分かりました。
すき間から入る空気は24時間換気用の吸気口から入る新鮮な空気ではなく、床下や壁内を通る汚染された空気ですので、決して良い環境ではありません。
断熱性能が悪くて気密性の低い家は、暖房が効きにくい
築20年の木造一戸建てリビングのサーモ写真になりますが、エアコンで暖房を入れていても、暖かい空気は床までいく途中で上部へ上がってしまいますので、温度設定を上げても床が暖まるまで時間が掛かります。
エアコン吹き出し口の温度は約29℃、すぐ下にあるカーテンの温度は17.6℃ありますが、床部分の温度は13.8℃と低いままになっていることが分かります。
また、気密性が低い家は、床部分のすき間から冷気が入ってくるので、いつまで経っても床が冷たいままになります。
更に、天井部分も断熱性能と気密性が低いために暖かい空気は窓、壁や天井から抜けて行ってしまいます。
同じ住宅の外壁面のサーモ写真を見てみると、直射日光が当たる面ではない外壁が赤くなっていて、室内の暖かい空気が逃げてしまっているのが分かります。
赤くなっている部分は断熱材が入っていない可能性がありますね。
寒さの原因、一番の理由は窓から熱が逃げる
冬の暖房の熱が窓から逃げる割合は58%(※関連記事参照)になりますので、窓の性能が低いと暖房器具で暖めた暖気がどんどん窓から逃げていき、頭部付近は暖かいけど足元が寒いと感じてしまいます。写真上:Ua値は0.45W/㎡Kの高断熱の家、写真左下:Ua値1.43W/㎡Kの断熱等級4未満の家、写真右下:Ua値0.85W/㎡Kの断熱等級4の家になり、断熱性能が低くなるほど、床部分と窓部分が冷えていることが分かります。
続いて外部から撮影したサーモグラフィになりますが、一番下のアルミ単板ガラスになると、ガラス部が赤くなっており、室内の熱が逃げているのが分かりますね。
体感温度は(室温+壁などの表面温度)÷2
エアコンや暖房器具をつけていて温度計では適温になっていても、寒いと感じることありませんか?その理由は、体感温度は(室温と周囲の壁や床などの平均温度)÷2ですので、室温が上がっても、壁や床が冷えていると暖かく感じません。
暖かく快適に過ごすには対策が必要です。
寒い家を購入した場合の対策
断熱等級4未満の住宅を検討されている、既に購入してしまった場合は、内窓を設置する、床に断熱マットやラグを敷くなど対策を行いましょう。
DIYで内窓を設置する方法がコスパが良いですよ。
弊社事務所で実際に設置しましたが、効果抜群です。
皆さんもぜひお試しください。
建売住宅の場合、殆ど日射の入らない窓を多く設置している場合が多くありますので、そのような窓は塞いでしまう方法もありかもしれません。
ハニカムシェードの設置もオススメ
新築住宅でいきなり内窓の設置は抵抗があるという方が多いかもしれませんので、そのような場合、カーテンの代わりにハニカムシェードの設置がおススメですよ。ハニカムシェードとは文字通りハニカム(ハチの巣)タイプのシェードです。
夏は外からの熱い陽射しを2枚の生地で遮り、冬は室内の暖かさをハニカム内の空気層が閉じ込めるという構造になります。
※イラスト:ニチベイ
新築物件の場合はカーテンは付いておりませんので、カーテンと比べて価格は上がってしまいますが、ハニカムシェードの設置を検討してみてください。
弊社にて実物の断熱二重窓、ハニカムシェードをご覧いただけます。
まとめ
一戸建ては寒いのが普通ではなく、性能の良い家を買うことによって暖かく快適に過ごすことが出来ます。