住宅の外観デザインは、見た目だけでなく、長期的な住みやすさや維持費にも大きな影響を及ぼします。今日は、シンプルな形状の家と、デコボコした複雑な外観の家の性能と雨漏りやメンテナンス費を比較してみます。
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たとえば、下のイラストのような建築面積26.5㎡(約8坪)の家があるとします。
外壁面積と熱損失の違い
・シンプルな四角い家(青い家)
外壁の周長:21.84m
壁の高さが9mの場合:外壁面積は196.56㎡
・複雑な形の家(赤い家)
外壁の周長:23.66m
壁の高さが9mの場合:外壁面積は212.94㎡
赤い家の方が16.38㎡分、外壁面積が多くなります。
例えば、断熱等級5、UA値0.6W/㎡Kで計算すると、0.6W/㎡K×16.38㎡=約9.8W/K分、赤い家の方が熱損失が多くなります。僅かではありますが、同じ床面積でも外壁が複雑な形状の家の方が、熱損失が多くなりました。
さらに、複雑な形状では、外壁や屋根など接合部が多くなるため、気密性能を確保するのが難しくなります。すき間風が入ることにより、冷暖房効率が低下するほか、結露やカビの発生リスクも高まります。シンプルな形状の家は、気密施工もしやすく、エネルギー効率の良い快適な住環境を実現しやすいと言えます。
雨漏りリスクとメンテナンス費用の観点
外壁の形状が複雑になると、以下のような問題も発生します。
・外壁施工の複雑さ
青い家では角が4か所ですが、赤い家では角が8か所あります。一次防水の外壁シーリングや、二次防水の防水シートの施工箇所が増えるため、施工ミスのリスクや将来的なメンテナンス費用の増加が懸念されます。
・屋根防水の複雑さ
デコボコした形状は屋根にも影響を与え、「谷」と呼ばれる部分が複数できると、雨水が集中しやすくなります。これにより、雨漏りのリスクが高まり、施工時にも細心の注意が必要となります。
デザイン性と実用性のバランス
最近、外観に個性を出すために、あえて壁の一部を5~10センチ出すデザインが見受けられます。確かに、こうしたデザインは見た目にインパクトがありますが、その分、デメリットもあります。
・断熱性能の悪化
外壁面積が増えることで断熱材の必要面積も拡大し、冷暖房効率が低下します。形状が複雑化することで、断熱欠損のリスクも高くなります。
・雨漏りのリスク増大
屋根や外壁の複雑な継ぎ目が原因で、雨水の侵入リスクが高まります。
・メンテナンス費用の増加
複雑な構造は、施工や補修時の手間がかかり、将来的なメンテナンス費用が増加する可能性があります。
建築家の飯塚さんが設計された家を数件見学したことがありますが、シンプルでありながらも十分にかっこいいデザインを実現していました。
まとめ
シンプルな形状でもデザイン性を高めることはできますし、何より耐久性を高め、雨漏りリスクを低減させ、将来的なメンテナンス費用を抑える効果が期待できます。
もちろん、デザイン重視で家探しをされている方もいらっしゃると思いますし、個性的な外観を求める方もいると思いますが、デコボコした家=デザイン性が高い家ではないと思いますが、いかがでしょうか?
ぜひ、あなたのご意見をお聞かせください。
では、また次回のブログでお会いしましょう。
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