
不動産売却における囲い込みとそのリスクについて考える
不動産会社に売却を依頼しているのに、他社から買主様を紹介してもらえない。そんな「囲い込み」が、売主様の売却機会を狭めることがあります。
この記事でお伝えしたいこと
問題なのは、売主様と買主様の双方を同じ会社が仲介する「両手取引」そのものではありません。他社からの正当な購入希望者の紹介を不当に断るなど、売主様の利益より自社の手数料を優先する行為です。
01囲い込みの基本「囲い込み」とは何か
売主様から売却を依頼された仲介会社が、自社で買主様を見つけることを優先するあまり、他の不動産会社からの正当な問い合わせや購入希望者の紹介を不当に制限する行為を「囲い込み」と呼びます。
例えば、実際には紹介できる物件なのに、他社へ「商談中です」「すでに申し込みが入っています」などと事実と異なる説明をして紹介を断るケースです。

売主様にとっては、購入を検討してくれる方が減り、売却期間が長引いたり、価格を下げざるを得なくなったりする可能性があります。
02混同しやすい違い両手取引そのものが悪いわけではありません
両手取引
同じ仲介会社が売主様と買主様の双方を仲介する取引です。双方から仲介手数料を受領する場合がありますが、それだけで違法・不当ということではありません。
囲い込み
売主様の売却機会を不当に狭め、自社での成約を優先する行為です。問題となるのは、他社の購入希望者を排除する対応や、事実と異なる取引状況の表示などです。
大手・地元という会社の規模ではなく、他社にも情報を公開し、購入希望者からの問い合わせに適切に対応しているかを見ることが大切です。
03制度変更2025年からレインズの取引状況登録が義務化されました
2024年8月29日付の日本経済新聞「不動産仲介業者の物件『囲い込み』を処分対象に 国交省」では、国土交通省が囲い込みへの規制を強化する方針が報じられました。
その後、2025年1月1日から、専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録した物件について、取引状況の登録が義務化されました。
また、2025年1月からは、売主様が登録物件の状況を確認しやすいよう、登録証明書に売主専用画面へアクセスする二次元コードが掲載されています。
重要なのは、取引状況が事実と異なる登録は行政上の指導・処分の対象となり得ることです。一方、制度が変わったからといって、すべての囲い込みが自動的になくなるわけではありません。
専任媒介契約は7日以内、専属専任媒介契約は5日以内(いずれも休業日を除く)にレインズへ登録する義務があります。登録証明書を受け取り、売主専用画面で取引状況を確認しましょう。
実際の確認手順は、当社の関連記事で詳しく解説しています。
04実際にいただいたご相談仲介手数料の値引きや設備保証だけで判断しない
以前、ある大手不動産会社へ売却を依頼していたものの、売却が思うように進まず、囲い込みを心配されているお客様からご相談がありました。
当社でも訪問査定を予定していましたが、その前日にキャンセルのご連絡がありました。別の大手不動産会社から、仲介手数料の値引きや設備保証などを含む提案を受けたとのことでした。
設備保証や手数料の値引きは、条件が合えば売主様にとってメリットのあるサービスです。ただし、サービスが適用される条件が「その会社が売主・買主双方を仲介した場合」に限定されているかなど、契約内容を確認する必要があります。
両手取引限定の特典があっても、それだけで囲い込みが行われているとは断定できません。しかし売主様としては、サービスのメリットと同時に、他社からの買主紹介を制限しないか、広く販売活動が行われるかを確認しておくと安心です。
当社が実際に囲い込みの事実を確認した事例ではありません。売却を依頼する会社を選ぶ際に、サービス内容だけでなく販売方法も確認したい、という趣旨でご紹介しています。
富士屋不動産の設備保証に対する考え方
当社でも、中古住宅の設備について買主様の不安を減らすため、設備保証サービスを取り扱っています。設備保証は、引渡し後に対象となる住宅設備が故障した場合、契約で定められた範囲で修理費用などを補償する仕組みです。ただし、すべての設備や故障が保証されるわけではなく、対象設備・保証期間・免責事項などの確認が必要です。
当社では、保証料は買主様にご負担いただく考え方でご案内しています。売主様の仲介手数料を値引きする代わりに、買主様も当社を通して取引しなければ設備保証を受けられない、といった条件で売却先を狭めることは、当社が目指す販売方法ではありません。
売主様にとって大切なのは、設備保証の有無だけでなく、より多くの購入希望者に物件を検討してもらえることです。 当社では他社からご紹介いただく買主様も含めて売却活動を行い、保証サービスについては物件やご希望に応じて内容・費用負担を個別にご説明します。
05売主様ができること「囲い込み」を防ぐために確認したいこと
- レインズ登録証明書を受け取る。登録状況と内容を確認する。
- 売主専用画面で取引状況を見る。「公開中」「書面による購入申込みあり」などの表示を確認する。
- 広告・販売活動の報告を求める。どこに掲載し、どんな問い合わせがあったのか確認する。
- 他社からの紹介を受け付けているか質問する。買主側仲介会社への対応方針を確認する。
- 保証・手数料割引の適用条件を確認する。両手取引だけに限定される条件がないか確認する。
専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の業務報告義務があります。報告内容について疑問があれば、遠慮なく尋ねてよいと思います。
06富士屋不動産の考え方売主様にとって良い条件の成約を優先します
富士屋不動産では、自社で買主様を見つけることだけにこだわらず、他の仲介会社がご紹介する購入希望者も含め、幅広く売却の機会をつくる方針です。
大切なのは、仲介手数料をどちらから受け取るかではなく、売主様の不動産を、納得できる条件で売却することです。
「大手だから安心?」そうとは限らない不動産・建築業界の実態会社の規模だけで判断しないために。
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