平成24年版と令和4年版の違い
平成24年版の被害想定では、「東京湾北部地震」が最も多くの被害をもたらすとされていましたが、令和4年版では「都心南部直下地震」に焦点を当てています。この見直しにより、死者数、負傷者数、建物全壊棟数の被害想定が小さくなったのは、建物の耐震化が進んだことや木造密集地域が減少したためです。
表の左側が平成24年版(東京湾北部地震)、右側が令和4年版(都心南部直下地震)の被害想定になります。
前回の報告とは想定する地震が異なりますが、死者は前回想定より約3,600人減、負傷者は同約55,000人減、建物全壊棟数は同約34,000棟減と被害想定が小さくなったのは、建物の耐震化が進んだこと、木造密集地域が減ったことが理由のようです。
都心南部直下地震が起きた時の板橋区の震度予想
令和4年版の報告によると、「都心南部直下地震」(マグニチュード7.3)が冬の夕方、風速8m/s時に発生した場合、板橋区の総面積32.2㎢のうち、67.1%が震度6弱、32.9%が震度6強になると予測されています。特に、武蔵野台地側と低地側では震度分布に差が生じると見られています。
※イラスト:東京都防災ホームページ
板橋区の被害想定
平成24年版では死者・停電率・通信不通率が23区内で最も少なく、負傷者・建物全壊棟数・ガス供給停止数・上水道の断水率・下水道の管きょ被害率が2番目に少ない想定でしたが、今回の報告では大幅に被害想定が大きくなっています。
23区全体の被害想定は減っていますが、板橋区に限ってみると減るどころか増えた項目の方が多くなっています。想定される地震の発生個所の違いもあり、前回と比べて震度6強が想定される面積が前回(15.6%)の倍になる32.9%になり、また、都心部ほど木造建物が減り耐震性の高い建物が建築されたことも大きいのかと考えます。
全壊する建物の約8割は旧耐震基準
23区内で揺れによる全壊被害想定は75,501棟、多摩地区を含むと80,530棟(木造:68,938棟、非木造:11,593棟)のうち約8割は旧耐震基準の建物です。
マンションであれば新耐震基準、木造一戸建てであれば2000年基準以降であれば一応安全ということですね。
※富士屋不動産がお勧めできる木造一戸建ての建築年次はこちら
板橋区内に存する木造住宅の耐震化率は80.4%で、未耐震住宅は約1万4千戸あります。今お住まいの家が旧耐震基準の賃貸物件であれば、早めにお住み替えすることも考えた方が良いかもしれません。
なお、板橋区は令和4年4月に「板橋区住宅耐震化緊急促進アクションプログラム」を策定し、「住宅については、令和7年度末までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消する」と掲げました。
板橋区住宅耐震化緊急促進アクションプログラムの詳細はこちら
東京都の発表によると、令和2年4月1日現在、都内で避難所約3200か所(協定施設等を含む。)、福祉避難所約1500か所が確保されていて、避難所の収容人数は約320万人となっています。また、内閣府が作成した避難所生活ガイドラインによると、「東日本大震災後は、海外から多くの支援者が訪れました。我が国の応急・復旧の迅速さに称賛する声があった一方で、避難所の生活環境については、国際的な難民支援基準を下回るという指摘があったことは重く受け止めなければなりません。」と書かれています。
避難所生活が、いかに過酷な状況か分かりますね。
在宅避難する為には、建物の耐震性能はもちろんのこと家具の転倒防止など自宅が安全であること、非常食や飲用水の確保など備蓄も必要になります。