去年からの念願であった小谷さん設計の木のマンションリノベをようやく見学することができましたので、弊ブログをお読みいただいている方にも共有させていただきます。その前に毎度お伝えしていることですが、著書にもライフサイクルコストについて書かれていましたので紹介します。
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『間取りのレシピ100』には、マンションを終の棲家にするのなら、働いて稼げるうちに面倒なことはやって、将来ラクをしようと書かれています。
マンションで最も多い”田の字型の間取り”の場合、北向きの子供部屋は陽が当たらず暗くて寒いので、子供が家を出た後は納戸状態になりがちです。
今回見学したマンションは、オリジナルの可動家具で間仕切りすることによって、将来子供が家を出て行った時には家具を撤去して隣接するリビングとつなげることができるよう設計されています。
右側にあるリビングとは棚で間仕切り、左側は子供の机とクローゼットで間仕切りされています。 子供用の机とクローゼット、上部は空調が効くように開いていました。
リビングの可動家具は本棚とTVボードになっており、構造梁と右側の障子の高さが揃っていることと、ダイニング部分より床を約10㎝下げて天井高を上げているのがポイントです。
オリジナルの可動家具は初期コストは掛かるけど、将来の間取り変更したい時にも大掛かりなリフォームは不要になります。
また、一戸建てを終の棲家にするのなら、毎月の光熱費(マンションと比べて多くなる)、メンテナンス費用なども併せて検討してほしいところです。
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こちらのマンションの天井高さは、廊下が2.1m、ダイニングキッチンは2.15m、リビングは2.25mと数字だけ見るとマンションとしてはかなり低いように思いますが、身長1.8mの私でも圧迫感を感じることはありませんでした。
高さ規制の厳しいエリアの建売住宅でもリビングの天井高は2.3mは確保しますので、2.25mがいかに低いのかお分かりいただけると思います。
著名な建築家の書籍には、天井は低くてもいいということがよく書かれていて、こちらのマンションを見学するまでは「天井は低くてもいい」論に違和感ありまくりでしたが、少し理解できたように思います。
この天井高で圧迫感を感じない理由は、”間取りのレシピ100”や建築家である伊礼さんの著書”伊礼智の「小さい家」70のレシピ”にも書かれていますので、興味のある方は読んでみてください。
梁型で天井が凸凹している物件と比べて天井がフラットであることと、右側の窓、正面の窓(障子)、左側の梁型のラインが揃っているのも勉強になったポイントです。
天井を少しでも上げようとリビングドア(正面のドア)に段差を設けたり、天井が凸凹しているものと比べてると一目瞭然です。
「間取りのレシピ100」の事例の中で特に見たかったインナーバルコニー、奥行きは60㎝ほどでしたが、室内干しができるよう造作の物干し竿がついていて、障子を開ければ縁側のようにも使えます。
正面に見える収納は柱を隠すデザインにもなっております。
インナーバルコニー上部は天袋になっていて、エアコンも設置されていました。
室内扉は全て引き戸で統一されており、欄間部分はスリガラスで採光が奥まで届くように工夫がされています。
また、リビングのところでも説明しましたが、梁型のラインと欄間のラインが揃っているので室内がスッキリとした印象を受けます。
最近はマンションにおいても引き戸が多いですが、リビングドアとトイレは開き戸が多いですよね。
こちらはトイレも含めて全てが引き戸になっています。
特に秀逸なのはこちらの引き込み戸。
リビングではなく玄関廊下にガラスの引き込み戸を設けて、玄関からの冷気を防ぎながら視線は通るという設計です。
敷居のレールがなくとてもスッキリして、造作ならではの仕上がりですね~
一般的に一戸建てと比べてマンション中住戸の方が暖かくなりますが、古いマンションでも北向きの部屋は寒くて、結露やカビに悩まれている方も多くおられると思います。
小谷さん設計の木のマンションリノベは、熱環境にも拘りがあり、上記の引き込み戸のほかに、外周部には断熱材、開口部には二重窓を設けるなど熱環境の配慮も徹底していました。
障子も断熱効果があり、障子のつかない窓にはハニカムスクリーンが設定されています。
他にも、引き戸を開けると共用廊下とバルコニーが直線で抜けていて、風通しにも配慮されている間取り、造作キッチンや無垢板フローリングなども紹介したいところではありますが、興味のある方は小谷さんのホームページやインスタをご覧ください。
当日は、小谷さんから自筆のサインもゲット!
最後に、一戸建てでもマンションでも終の棲家として家を買うなら、流行に捉われず何年、何十年先でも飽きのこないデザイン、可変性のある間取りがお勧めですよ。
洋服と同じでその瞬間に流行っている色味やデザインは、数年で飽きてきます。
最近ご案内した築20年の一戸建てに真っ赤なキッチンが設置されていましたが、あの頃は赤、青、黄色などビビットカラーが流行っていたのを思い出しました。
おじいちゃん、おばあちゃんになっても”しっくりくる落ち着いた色味やデザイン”がいいと思いません?
では、また次回のブログでお会いしましょう。