2022年1月15日投稿
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10年保証とは?
新築建売住宅を購入する際や注文住宅を建築する際、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、分譲会社や建築会社は引き渡し後、「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の浸入を防止する部分」について10年間保証しなければならないという法律です。
引き渡し後10年の間に万一、構造耐力性能を満たさない場合や雨漏りなどの事故が発生した場合には、分譲会社などが無償で補修してくれます。また、分譲会社などが廃業や倒産した場合でも、補修費用などを保証会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)へ請求することが出来ます。
※一部大手さんでは供託しているケースもあります。
10年保証がついているから欠陥はない?
保証会社が保険引き受けにあたり、工事中に検査を行いますが、この検査は欠陥を完全に防ぐわけではありません。国土交通省の平成30年の調査によると、新築住宅の保険加入件数は約263万件、そのうち事故件数は約5,000件で、事故率は約0.19%になります。つまり、新築住宅1,000件のうち2件が構造上の欠陥や雨漏りの問題を抱えている可能性があることになります。
また、保証会社の調査によると、事故の割合は圧倒的に雨漏りが多く、構造部分の割合は少ないようです。これも近年は大雨やゲリラ豪雨などが頻繁に発生して雨漏りの事故が多いだけで、構造部分の欠陥は大地震が起きないと外観からは分かりにくいという面もあると考えます。
なお、一部大手さんの供託以外では瑕疵保険の加入は法令上義務化されていて、よほどの違反建築でない限り保険に加入できるため、10年保証があるからといって100%安心できるわけではありません。
10年保証の対象外になる事例
主要構造部分の欠陥、雨漏りした場合、全てが10年保証の対象になるのではなく、免責事項もありますので注意が必要です。
対象外になる事例の一部
・洪水、台風、暴風、暴風雨、竜巻、豪雨等の自然現象または火災、落雷、爆発、暴動等の偶然または外来の事由または重量車両、鉄道等の通行による振動等
・土地の沈下・隆起・移動・振動・軟弱化・土砂崩れ、土砂の流入または土地造成工事
・地震もしくは噴火またはこれらによる津波
・対象住宅の虫食い もしくはねずみ食い、対象住宅の性質による結露または事故によらない対象住宅の劣化
・対象住宅引渡し後の増築・改築・修補の工事またはそれらの工事部分の瑕疵。
ここで注目して頂きたいのが、「結露」と「引き渡し後の改築」についてです。
先ずは結露の注意点について説明します。過去のコラム(ホントに怖い!!壁の中の結露)でも書きましたが、窓の結露であれば拭き取ればよいのですが、壁内部や小屋裏部分に発生する結露は保証の対象外になります。
入居後、壁や天井にカビが生えるという現象が起きたら、それは内部結露が原因かもしれません。
最近の建売で多く見かける勾配天井やロフトのある家も、施工をキチンと行っていないと屋根部分で結露を起こす可能性があります。
※写真:日経ホームビルダー:築1年の一戸建て住宅に発生した結露
壁内結露については、下記ブログをお読みください。
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次に引き渡し後の増築、改築について説明します。よく後付けでバルコニーに屋根を付けたいと仰るお客様がいますが、基本的に弊社はオススメしてません。
たしかにバルコニーに屋根があると急な雨が降っても安心かもしれませんが、売主以外の施工会社が屋根を設置し、万一屋根部分から雨漏りした場合は10年保証の対象外になる可能性があります。
じゃあ分譲会社に頼めば良いのでは?と思いますよね。分譲会社によっては引き渡し後であれば設置してくれる会社もありますが、屋根をつけると建築基準法違反になる可能性があるので注意が必要です。
今回の趣旨とは外れるので、バルコニー屋根については次の機会にしますね。
まとめ
新築であれば何でもかんでも10年間保証がついている訳ではないこと、また室内に水が漏れていても雨漏り以外の原因であれば保証の対象外になります。地震による構造の事故は保証外になること、また、熊本地震のような大地震が起きた場合には住み続けることができない可能性があることをお伝えします。
以上のように、10年保証がついているから安全で安心な家であるとはいえないことがお分かり頂けたと思います。
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