断熱等級別の光熱費比較
今回の光熱費計算は、過去に分譲されていたモデル住宅をベースに行いました。このモデル住宅の間取りと概要です。
土地面積:約45㎡
建物面積:約78㎡
構造:木造3階建て
方位:東南向き
日照条件:2階リビングと3階の一部屋のみ直射日光が望める。
このモデル住宅を基に、断熱等級3、4、5のそれぞれの断熱仕様でシミュレーションを行いました。シミュレーションには、「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を使用しております。また、同一のプランで断熱性能ごとの室温シミュレーションをおこなっていますので、下記の記事をご覧ください。
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なお、今回のシミュレーションでは、気密性や漏気により光熱費が上がることは考慮していません。実際の光熱費や快適性はこれらの要素によって大きく影響を受ける可能性があることに注意が必要です。気密性が高い住宅は、隙間風が入りにくく、冷暖房効率が向上するため、実際の光熱費や住み心地はさらに向上するでしょう。
光熱費シミュレーション比較
以下は、断熱等級別のUA値と年間光熱費の比較です。
断熱等級3(UA値:1.07W/㎡K):年間光熱費:約20.1万円
断熱等級4(UA値:0.87W/㎡K):年間光熱費:約17.9万円
断熱等級5(UA値:0.57W/㎡K):年間光熱費:約15万円
※断熱等級3は中古一戸建て、断熱等級5はZEH水準を想定しています。
このデータを見ると、断熱等級が上がるごとに光熱費が大幅に削減されることがわかります。断熱等級3の住宅と断熱等級5の住宅を比較すると、年間で約5.1万円の差が生まれます。
長期間住んだ場合の光熱費比較
以下は、35年間および50年間住んだ場合の光熱費を比較した結果です。
断熱等級3
35年間:約703.5万円
50年間:約1,005万円
断熱等級4
35年間:約626.5万円
50年間:約895万円
断熱等級5
35年間:約525万円
50年間:約750万円
断熱等級3と断熱等級5を比較すると、35年間で約178.5万円、50年間で約255万円の差が生まれます。また、断熱等級4と断熱等級5を比較すると、35年間で約101.5万円、50年間で約145万円の差が生まれます。また、上記金額は電気やガス代が上昇しないことを前提としておりますが、実際は過去20年で電気は約41%、ガスは約32%も上昇しているので注意が必要です。このような価格上昇を考慮すると、高断熱住宅を選ぶことで、長期的にはさらに大きな光熱費の節約が期待できます。
初期コストについて
ZEH住宅は長期的な光熱費の節約が期待できますが、初期コストも重要な要素です。断熱性能を高めるための材料や施工費用が増加しますが、長期的な光熱費の節約を考慮すると、初期コストの増加分を数年で回収できる可能性があります。
たとえば、断熱等級4から等級5へ上げた場合のコストはおおよそ10万円ほどの試算になります。初期コストについては、下記の記事をご参照ください。
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2030年には最低基準になる予定
2025年に断熱等級4が義務化されますが、2030年には断熱等級5が最低基準になる予定ですので、今から家を買うなら断熱等級5は必須性能になると考えます。詳細は下記の記事をご参照ください。
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光熱費の単価について
今回の光熱費シミュレーションでは、電気料金を27円/kWh、ガス料金を156円/㎥として計算しています。しかし、東日本大震災以降、電気料金とガス料金は値上がり傾向にあり、2024年6月現在では電気料金が33円/kWh、ガス料金が210円/㎥に達しています。2024年8月からは政府の補助がありますが、長期的にはさらに料金が上がる見込みです。
ZEH住宅のメリット
光熱費の節約
ZEH住宅に住むことで、冷暖房の効率が良くなり、光熱費を大幅に節約できます。断熱等級5の住宅では、年間で5万円以上、35年間で約178.5万円、50年間で約255万円の光熱費を削減できる可能性があります。
快適な室内環境
断熱性能が高いと、外気の影響を受けにくく、冬は暖かく夏は涼しい快適な室内環境を保てます。特に、小さなお子様や高齢者がいるご家庭では、健康面でも大きなメリットがあります。気密性が高い住宅ではさらに快適性が向上します。
環境に優しい
光熱費の削減は、エネルギー消費の削減にもつながります。高断熱住宅に住むことで、環境に優しいライフスタイルを実現できます。
住宅ローン減税の優遇
ZEH住宅は住宅ローン減税の優遇もあり、借入限度額が3,500万円(子育て世帯は4,500万円)までと断熱等級4と比べて500万円増額されます。
ZEH建売住宅を選ぶポイント
高断熱な建売住宅を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
断熱等級を確認
物件情報や営業担当者に断熱等級を確認し、高い等級の住宅を選びましょう。
断熱材の施工方法
断熱材の施工方法も重要です。断熱材が適切に施工されているか確認しましょう。
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気密性
断熱性能だけでなく、気密性も重要です。気密性が高い住宅は、隙間風が入りにくく、冷暖房効率が向上します。気密性能が良いかどうかも確認したいところですが、残念ながら建売住宅で気密測定を行っている物件は皆無です。
最後に
ZEH住宅は、光熱費の節約だけでなく、快適な生活環境を提供します。初期コストは高くなるかもしれませんが、長期的には経済的なメリットが大きく、住生活にも優しい選択です。これから新しい住まいを探す際には、ぜひ断熱性能にも注目してみてください。高断熱な建売住宅で、より快適で経済的な暮らしを実現しましょう。
このブログ記事を読んでZEH住宅に興味を持たれた方、もっと詳しい情報を知りたい方は、ぜひ富士屋不動産へお問い合わせください。断熱性能の高い住宅のメリットや具体的な物件情報について、丁寧にご説明いたします。
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