●初見!アメリカカンザイシロアリ
●長持ち住宅にするにはシロアリ対策は必須
●昔の家はお風呂場での被害が多く、最近の家は玄関廻りでの被害が多い
●シロアリ点検がしやすい家を買いましょう
●最後に
初見!アメリカカンザイシロアリ
最後は、日本ホウ酸処理協会研修施設でシロアリの特性を学び、実際の飼育現場を見学してきました。
東京近郊にはイエシロアリ、ヤマトシロアリ、カンザイ(乾材)シロアリの3種類が生息しているそうです。
イエシロアリ、ヤマトシロアリは水気のある地下に営巣しますが、カンザイシロアリは乾燥材に含まれたわずかな水分だけで生きていくことが出来るので、家具にも巣を作ることができるそうです。
写真:ショーケース内で実際にアメリカカンザイシロアリを飼育しています。
上の写真にあるショーケースには家具が入っていますが、引き出しや天板などもシロアリに食われていました。
アメリカカンザイシロアリの職蟻と兵隊蟻です。
アメリカカンザイシロアリは家具にも巣を作ることができますので、お部屋のどこかに木くずのようなものが見つかればシロアリの可能性もあります。
写真ような木くず?や羽を見つけたけど、シロアリなのか分かりませんよね?
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なお、ヤマトシロアリの羽蟻はGW前後の雨が上がって気温を上昇すると群飛、イエシロアリの羽蟻は6月から7月頃の夕方群飛するそうです。
長持ち住宅にするにはシロアリ対策は必須
シロアリ対策は、しっかり行わないと耐久性だけではなく、耐震性を保つことも出来なくなる可能性があります。
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災時の死因の多くは住宅倒壊による圧死で、シロアリ被害のある住宅のほとんどが倒壊しているそうですので、シロアリ対策は長持ちする住宅を考えるにあたって重要なポイントです。
シロアリ対策において一般的に採用されているのは、合成殺虫剤を使用した処理方法ですが、今回のツアーではホウ酸で処理を行う「日本ボレイト(株)」浅葉氏からお話しを伺いました。
ホウ酸というと、G用に使うホウ酸団子や私も子供と一緒に作ったスライムの材料としても有名ですよね。
シロアリは蟻の仲間ではなくGの仲間で、ホウ酸は腎臓をもたないGには有害だけど、腎臓をもつ人間には害が少ない自然素材で、防蟻効果も持続するそうです。
一方、合成殺虫剤を使用した処理方法は、人体への影響も強いので有効期限が短く5年ごとに再処理を行わなければならないことです。
確かに、一戸建て購入時の引き渡し書類にある「シロアリ保証書」は、施工日から5年と記載されています。
今回お話しを伺ったホウ酸によるシロアリ処理は、5年ごとの定期検査(5万円/回)を受けると最長15年の保証を受けることができるそうです。
当然、ホウ酸にもデメリットがあり、水に弱いので施工途中に材木が雨で濡れないよう養生が必要になります。
また、即効性はなさそうで、駆除などには薬剤を使用して行うようです。
ホウ酸による防腐防蟻処理のシェアは3%しかないようですが、人体への影響、再処理を考えると今後のシェアは増えてきそうです。
昔の家はお風呂場での被害が多く、最近の家は玄関廻りでの被害が多い
昔の家で発生するシロアリの被害箇所の多くはお風呂場でしたが、ベタ基礎が多く採用されている最近の一戸建てにおいては、玄関廻りで多発しているそうです。(出典:日経ホームビルダー)
タイル貼りの古いお風呂(ユニットバスではないお風呂)は
①タイルは割れて水が漏れる→木材が濡れて腐る→シロアリを誘引
②お湯を流す→配管が温まる→冬眠できないシロアリが集まる→シロアリが侵食
という悪循環が続きます。
シロアリに柱や土台が食われていると耐震性も低下しますし、寒いお風呂場はヒートショックの原因にもなりますので、耐久性だけではなく、健康面でも考えてもユニットバスへのリフォームはオススメですよ。
一方、ベタ基礎を採用した比較的新しい住宅においては、玄関廻りで蟻害が見つかることが多いようです。
写真:日経ホームビルダー
玄関扉の木製枠が地面に接している場合は、枠の地面付近を触って、柔らかくなっていないか確認してみましょう。
柔らかくて手ごたえがない場合、蟻に食われている可能性もありますので、専門家に相談してください。
シロアリ点検がしやすい家を買いましょう
シロアリは1mm前後の隙間があれば侵入できるそうですので、点検のしやすい施工になっているかも大切です。
イラスト:日経ホームビルダー
過去のコラムでも書きましたが、上記のイラストのように配管を地中に埋めている施工だと、配管の交換ができなくなるだけではなく、蟻害を見つけることも困難になりますので、基礎の横から配管されている物件がオススメです。
詳しくは、過去のコラムをご覧ください。