2030年までにカーボンハーフ(CO2排出量を2000年比50%削減)、2050年までにカーボンニュートタル(脱炭素)の実現を目指して、東京都は新築住宅を供給する大手住宅メーカー等に対し、太陽光発電等を義務付ける新たな制度を検討しています。
今後のスケジュールとしては、2022年12月に行われる定例会で条例改正案を提出、都議会の議決後、2年間程度の準備・周知期間を設けて、2025年4月の施行を目指しているそうです。
そこで、3年後に義務化される予定の太陽光発電設備設置の義務化について、私なりに学んだものをご紹介させていただきます。
今のところは太陽光発電は設置した方がメリットが多くありそうだなと思うところではありますが、勉強不足な点もあると思いますので、反対意見などあれば教えてください。
また、過去のブログでも書きましたが、先ずは断熱性、気密性の高い住宅を買う、建てることを優先してほしい、創エネより省エネという点に変わりはありません。
太陽光パネルの設置義務者は誰?
太陽光発電設備の設置義務者は、年間供給面積が20,000㎡(200棟程度)以上の大手住宅メーカー約50社が対象、そのうち都内での年間新築棟数の半数程度を想定しており、一定の断熱、省エネ性能の義務付け・誘導を実施するそうです。
「一定の断熱、省エネ性能の義務付け・誘導」とありますが、2025年度から全ての新築住宅において断熱等級4が義務化されますので、一定の性能をZEH基準(断熱等級5)レベルで求めるのであれば、50社が供給する「太陽光パネル付き断熱等級5の住宅」と50社以外の中小建売分譲会社が供給する「断熱等級4の住宅」とでは、かなりの性能差がでることになりそうです。
※誘導とも書かれていますので、太陽光パネル付き断熱等級4というビミョーな住宅も出てきそうですね。
尚、日照条件の悪い立地や屋根の面積が一定規模未満の住宅については、太陽光パネルの設置対象から除外されます。
住宅メーカー50社となると大手ハウスメーカー、飯田グループ以外の建売住宅会社も対象になりそうです。
太陽光パネルの設置費用、ランニングコストは?
東京都が発行している【太陽光発電設置 解体新書】によると、4kWの太陽光パネル設置費用は92万円(1kWあたり23万円)と試算されておりますが、経済産業省のデータによると、2021年において平均設置費用は1kWあたり28万円になっております。
経済情勢などの影響で価格が上昇する可能性も当然あるのですが、普及が進むにつれ年々相場は下がりつつあるようです。
なお、東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」による補助を行っております。
3kW以下の場合:12万円/kW(上限36万円)
3kWを超える場合:10万円/kW(50kW未満)
※ただし3kWを超え3.6kW未満の場合:一律36万円
※エコキュート及びハイブリッド給湯器もあわせて設置する必要があります。
仮に1kWあたり28万円で4kWの太陽光パネルを設置した場合の初期費用は112万円で、補助金36万円を利用すると76万円で設置できる計算になります。
ランニングコストとしては、5年ごとに定期点検費用として約3万円、パワーコンディショナー交換費用が20年後に約20万円ほど掛かります。
初期費用と30年間に掛かるコストは、設置費用76万円+定期点検18万円(3万円×6回)+パワーコンディショナー交換23万円=117万円になりました。
※補助金を利用した場合。
売電による収入は?
東京大学大学院 前准教授が作成された「太陽光発電 コスト試算シート」を使用して計算してみました。
4kWの太陽光発電、自家消費率30%、買電単価35円/kWh(我が家の単価を採用)、FIT期間中の売電単価17円/kWh、FIT終了後の売電単価9円/kWh、設置費用(補助金込み)、ランニングコストは上記の内容によります。
この試算によると10年目で初期費用分の回収が終わり、20年で約100万円、30年で約180万円の経済的メリットが生じます。
買電単価35円/kWhは我が家の8月分の電気代と消費量から算出しており、この1年で約9円値上がり(2021年8月分の単価は26円/kWh)しております。
買電単価は今後も上昇すると思われますので、さらに経済的なメリットが出てくるものと思われます。
また、松尾設計室の松尾先生によると「おひさまエコキュート」を使用して、日中に太陽光発電により湯沸かしを行えば、自家消費率が上がり更にお得になるそうです。
太陽光パネルの寿命は?
【太陽光発電設置 解体新書】によると太陽光パネルの寿命は25年~30年程度、パワーコンディショナーは15年程度と書かれておりますが、パネルの寿命とは出力が当初の80%ほどまで下がってしまうということで、発電が0になるものではなさそうです。
パネルメーカーにより25年~30年の出力保証を謳っているようです。
パワーコンディショナーは15年~20年に一度の交換は必須になります。
太陽光発電設置のリスクは?
【太陽光発電設置 解体新書】に記載されております。
1.雹などが当たって太陽光パネルのガラスが破損することはありますか?
2.自然災害で太陽光パネルが破損した場合、火災保険の対象になりますか?
3.火事の際は消化できないと聞いたのですが、本当ですか?
その他、火災発生や雨漏りのリスクも気になるところです。
4.太陽光発電設備による火災発生リスク
東京大学 前准教授による東京消防庁への聴取によると、太陽光パネルが原因の火災は10年で13件しかないそうです。
11:20~をご覧ください。
5.雨漏りのリスク
こちらは【建築知識ビルダーズ50号】に掲載がありました。
年間約11万件の新築戸建ての瑕疵保険を受け付けているJIO(日本住宅保証検査機構)でも、これまで把握している太陽光パネルの設置工事に起因する事故処理は2件のみとありますので、雨漏りリスクはかなり少ないといえますね。
我が家は太陽光発電設置に適した土地なの?
東京都内は近隣に高い建物があるけど、太陽光発電つけるのに適した立地なのかという疑問もありますよね。
東京都地球温暖化防止活動推進センターの【東京ソーラー屋根台帳(ポテンシャルマップ)】で太陽光発電適合度を調べることができますので、おおよその目安が分かります。
ポテンシャルマップで弊社の事務所ビルを確認すると、「条件付き適」の色がついており、場所をタップすると詳細が表示されます。
「条件付き適」とは、1,100 kWh/(m2・年)以上、1,260 kWh/(m2・年)未満の日射量を得られる建物です。屋根面により日当たりが良い場合など、設置に適している可能性がある建物と考えられます。 地図上に色がついていない「非表示」箇所は、1,100 kWh/(m2・年)に満たない日射量の建物又は算出対象屋根面積が20 m2未満の建物ですと書かれておりますが、現況の建物の屋根形状や面積で算出しているので、建て替え時の屋根形状、面積により太陽光発電に適したものになる可能性もあります。
※注意事項をよく読んでお試しください。
YouTube動画
資料
私もまだまだ勉強中になりますが、太陽光パネルの設置について少しでも興味が湧いたという方がおられましたら、上記の動画の視聴から始められるといいと思います。
建売住宅の内覧時に見ておきたいポイントと注意点
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