2022年4月に「断熱等性能等級5」および「一次エネルギー消費量等級6」が新設されましたが、10月1日より「断熱等性能等級6、7」が新たに施行されます。
フラット35Sエコタイプの省エネ基準も強化されますので併せてご紹介させていただきます。
住宅性能表示においての省エネ基準は長らく「断熱等性能等級4」が最高等級でしたが、2022年4月に「断熱等級5」が新設、さらに10月から「断熱等級6、7」が新設されます。
尚、3月までは最高等級であった「断熱等級4」は2025年から最低基準となり、全ての新築住宅において義務化されるレベルになります。
更に2030年には断熱等級5を義務化することも検討されています。
等級別のUA値をみると、等級7のUA値は0.26W/㎡K、等級6のUA値は0.46W/㎡Kとあり、2025年に義務化される省エネ性能と比べ大幅に強化されることになります。
※UA値は省エネ区分6地域の基準になります。
UA値とは「熱の逃げやすさ」を表す指標で、数値が小さいほど性能が高いものになります。
UA値に関する説明は【そもそもUA値とは何だ!?】をご参照ください。
2018年の統計データによると、住宅ストック5000万戸のうち断熱等級4を満たした家は約1割しかありませんので、多くの方が省エネ性能の高い家に住んだことがないと思われ、特に木造一戸建ては寒いのが当たり前と思っている方が多いのではないでしょうか。
省エネ性能の高い家を建てる、買うと電気代などの光熱費の削減はもちろんのこと、夏は涼しく、冬は暖かく快適に過ごすことができます。
ここでいくら書いても快適性は伝わらないと思いますので、実際に体験することをお勧めします。
新宿にある【リクシル住まいスタジオ】では、昭和55年基準、平成28年基準(断熱等級4)、断熱等級6基準の3つのお部屋があり、それぞれの室内環境を体験することができ、私も訪れたことがあります。
【リクシル住まいスタジオ】で断熱性の異なる3つの家を体感①~建売住宅・注文住宅検討の方は必見~
フラット35、フラット35Sの技術基準を見直し
フラット35S省エネタイプの技術基準が2022年10月から見直され、フラット35S Aタイプの場合、断熱等級5・一次エネ等級6、Bタイプの場合、断熱等級5・一次エネ等級4若しくは断熱等級4・一次エネ等級6の性能が必要になります。
また、2025年の省エネ基準義務化に先立ち、2023年4月からフラット35の省エネ基準が断熱等級4・一次エネ等級4に強化されます。
その他、長期優良住宅の認定基準も断熱等級5、一次エネ等級6に強化されます。

住宅ローン減税の控除額も有利になります。
住宅ローン減税についても、令和4年度の税制改正により住宅の省エネ性能別に控除額が変わりました。ZEH水準省エネ住宅は断熱等級5かつ一次エネ等級6以上の性能、省エネ基準適合住宅は断熱等級4かつ一次エネ等級4以上の性能を有する住宅が該当します。
2024年以降は断熱等級4、一次エネ等級4を満たしていない新築住宅において住宅ローン減税を受けることができなくなります。
なお、住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税の特例については、断熱等級4以上もしくは一次エネ等級4以上であれば1,000万円まで非課税になります。
日経アーキテクチュア9月22日号に断熱等級5・6・7を実現するための試算がありましたのでご紹介します。
3LDK、延床面積99.38㎡(3間×5間の30坪)の総2階建て、材料費だけのコストアップの試算です。
等級4→5 約30万円アップ(坪単価1万円アップ)
等級5→6 約25万円アップ(計55万円で坪単価1.8万円アップ)
等級6→7 約140万円アップ(計195万円で坪単価6.5万円アップ)
とあり、等級7にするには相当なコストアップになりそうです。
また、実際には施工費や工務店(分譲会社)の利益を入れると何倍もコストが上がるものと思われます。
特に都内によくある「準防火地域の3階建て」の場合は、防火窓にしなければなりませんので、等級4から等級6に上げようとすると坪10万円以上は上がるのではないでしょうか。
コストを掛けても光熱費で回収できる?
日経アーキテクチュアの同号では、「ローン利用者には等級7が有利」という記事が紹介されています。
実際に新潟県の断熱等級7で新築された住宅においての断熱工事費は約405万円(材工込)で、この住宅を等級5で施工した場合の工事費は約192万円とその差額は約213万円になるが、等級7の住宅の年間光熱費は約4万円、等級5の年間光熱費は約13.3万円で22.7年で回収できるとあります。
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断熱工事費 |
年間冷暖房費 |
回収年数 |
断熱等級7 |
405万円 |
4万円 |
22.7年 |
断熱等級6 |
235万円 |
7.8万円 |
7.9年 |
断熱等級5 |
192万円 |
13.3万円 |
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燃料費調整額の高騰により光熱費が爆上がりしておりますので、回収年数はさらに短くなる可能性がありそうですね。
家を建てる、買うとき、物件価格と諸費用などの初期費用(イニシャルコスト)は検討するけど、住み始めてから掛かる費用(ランニングコスト)は考えていない方が多いと思います。
「最初にかかるコストが低い家(物件金額は安いけど低性能な家)」と「住み始めてからかかるコストが低い家(物件金額は少し高くても高性能)」、本当にお得な家はどちらなのか?よく考えてお住まい探しをされてはいかがでしょう。
性能の高い家が欲しいと思った方は、下のコラムも併せてお読みください。
建売住宅の内覧時に見ておきたいポイントと注意点
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